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【ドラフト採点】浅野翔吾が巨人、荘司康誠は楽天へ 最高得点は広島で、最低得点は中日に

 

巨人から1位指名された高松商高・浅野


 2022年度のドラフト会議が都内ホテルで10月20日に開催され、攻守走そろった高校No.1野手の浅野翔吾(高松商高)は巨人と阪神が競合し、巨人が交渉権を獲得。最速154キロ右腕・荘司康誠(立大)にも楽天ロッテが競合し、楽天が交渉権を獲得した。今年はドラフト前日までにDeNA、阪神、ロッテを除く9球団が1位指名の選手を公表するという異例の状況だった。指名された選手は12球団で計69選手。広島中日が最多の7選手を指名した。各球団のドラフトの結果を週刊ベースボールONLINE編集部が採点する。

ヤクルト、DeNA、阪神の採点は?


ヤクルト ドラフト採点=70点
[指名選手]
1位 吉村貢司郎 投手 東芝
2位 西村瑠伊斗 外野手 京都外大西高
3位 澤井廉 外野手 中京大
4位 坂本拓己 投手 知内高
5位 北村恵吾 内野手 中大

 投手陣の層が薄い中で、1位指名した吉村貢司郎(東芝)は1年目から先発ローテーションで期待できる。高校通算54本塁打の西村瑠伊斗は投手としても評価が高かったが、プロでは野手一本で勝負する。抜群の投球センスを持つ坂本拓己(知内高)と共に将来のヤクルトを背負って立つ逸材だ。パワーヒッターの澤井廉はプロの投手に慣れるまで時間がかかるかもしれないが、大化けする可能性を秘める。先発、救援で投げられる即戦力の投手をもう1人指名しても良かった。

■DeNA ドラフト採点=80点
[指名選手]
1位 松尾汐恩 捕手 大阪桐蔭高
2位 吉野光樹 投手 トヨタ自動車
3位 林琢真 内野手 駒大
4位 森下瑠大 投手 京都国際高
5位 橋本達弥 投手 慶大
 
 1位で強肩強打の捕手・松尾汐恩(大阪桐蔭高)の単独指名に成功。2位以下もドラフト巧者ぶりがうかがえる。吉野光樹(トヨタ自動車)は直球に力強さが増し、先発、救援どちらもできる。手薄な二遊間で3位の林琢真(駒大)、リリーバーで安定感がある5位の橋本達弥(慶大)と指名の狙いが明確に見える。4位の森下瑠大(京都国際高)は高校球界屈指の好左腕。DeNAは今永昇太という良きお手本を筆頭に左腕の主戦投手が多い。森下の今後の成長が楽しみだ。

■阪神 ドラフト採点=65点
[指名選手]
1位 森下翔太 外野手 中大
2位 門別啓人 投手 東海大札幌高
3位 井坪陽生 外野手 関東一高
4位 茨木秀俊 投手 帝京長岡高
5位 戸井零士 内野手 天理高
6位 富田蓮 投手 三菱自動車岡崎
 
 巨人と競合した浅野翔吾(高松商高)とは縁がなかったが、外れ1位で右の強打者・森下翔太(中大)を指名した。外野の守備、俊足にも定評があり、甲子園でその姿が映える。主力の右打者が少ないチーム事情で1年目からレギュラーをつかむ可能性は十分にある。2位以下は将来性豊かな高校生を4人獲得。素材が光る金の卵たちはじっくり育てる。手薄な二遊間で即戦力の野手を指名していないのが気になる。目ぼしい選手がいなかっただろうか。

巨人、広島、中日の採点は?


■巨人 ドラフト採点=80点
[指名選手]
1位 浅野翔吾 外野手 高松商高
2位 萩尾匡也 外野手 慶大
3位 田中千晴 投手 国学院大
4位 門脇誠 内野手 創価大
5位 船迫大雅 投手 西濃運輸

 1位指名で獲得を熱望していた浅野翔吾(高松商高)が阪神と競合になったが、原辰徳監督が当たりクジを引き当て、会心のガッツポーズを見せた。攻守走3拍子そろったプレースタイルは、ヤクルトの山田哲人を彷彿とさせる。近未来で岡本和真と共に巨人の未来を背負って立つ存在として期待される。救援陣の層が薄い状況で、5位のサイド右腕・船迫大雅(西濃運輸)はセットアッパーとして1年目からチャンスをつかめるか。

広島から1位指名された苫小牧中央高・斉藤


■広島 ドラフト採点=90点
[指名選手]
1位 斉藤優汰 投手 苫小牧中央高
2位 内田湘大 内野手 利根商高
3位 益田武尚 投手 東京ガス
4位 清水叶人 捕手 健大高崎高
5位 河野佳 投手 大阪ガス
6位 長谷部銀次 投手 トヨタ自動車
7位 久保修 外野手 大阪観光大

 広島は満足のいくドラフトになっただろう。1位で斉藤優汰(苫小牧中央高)、2位で内田湘大(利根商高)と将来性豊かな素材を指名。3位で即戦力右腕の益田武尚(東京ガス)を指名できたのも大きな収穫だ。6位・長谷部銀次(トヨタ自動車)と共に救援陣の層が一気に厚くなった。5位の河野佳(大阪ガス)はゲームメーク能力に優れた右腕。21歳と若く、伸びしろが十分だ。

■中日 ドラフト採点=55点
[指名選手]
1位 仲地礼亜 投手 沖縄大
2位 村松開人 内野手 明大
3位 森山暁生 投手 阿南光高
4位 山浅龍之介 捕手 聖光学院高
5位 濱将乃介 内野手 日本海L福井
6位 田中幹也 内野手 亜大
7位 福永裕基 内野手 日本新薬

 1位の仲地礼亜(沖縄大)は沖縄の大学出身で初のドラフト指名。多彩な変化球を操る実戦向きの投手で、1年目から先発枠に入ってほしい投手だ。二遊間の補強が懸案事項の中で、2位・村松開人(明大)、5位・濱将乃介(日本海L福井)、6位・田中幹也(亜大)を指名したが、いずれも俊足巧打が持ち味の選手でタイプが重なるように感じる。7位の福永裕基(日本新薬)は逆方向にも飛ばす長打力が魅力。大化けするか。

オリックス、ソフトバンク、西武の採点は?


オリックス ドラフト採点=80点
[指名選手]
1位 曽谷龍平 投手 白鴎大
2位 内藤鵬 内野手 日本航空石川高
3位 齋藤響介 投手 盛岡中央高
4位 杉澤龍 外野手 東北福祉大
5位 日高暖己 投手 富島高

 1位指名の曽谷龍平(白鴎大)は完成度で言えば、大学No.1だろう。三振奪取能力が高く先発で実績十分だが、チームの編成を考えると救援に回る可能性もある。内藤鵬(日本航空石川高)は高校生離れした長打力が持ち味のホームランアーチスト。1位で指名されても不思議ではない選手だ。3位の斎藤響介(盛岡中央高)、5位の日高暖己(富島高)は次世代のエース候補。山本由伸のように大ブレークできるか。

ソフトバンクから1位指名された誉高・イヒネ


■ソフトバンク ドラフト採点=65点
[指名選手]
1位 イヒネ・イツア 内野手 誉高
2位 大津亮介 投手 日本製鉄鹿島
3位 甲斐生海 外野手 東北福祉大
4位 大野稼頭央 投手 大島高
5位 松本晴 投手 亜大
6位 吉田賢吾 捕手 桐蔭横浜大

 ズバ抜けた身体能力で躍動する1位のイヒネ・イツア(誉高)は大型遊撃手として、無限の可能性を秘めている。まだ線が細く体力づくりからスタートするが、今宮健太の後継者として楽しみだ。2位の大津亮介(日本製鉄鹿島)は完成度の高い右腕だが、3位以降は身体能力は高いが粗さが目立つ「素材型」が多い。ソフトバンクはこのような選手を好む傾向がある。このドラフトが成功だったか判断するのは3〜5年後になるだろう。

西武 ドラフト採点=75点
[指名選手]
1位 蛭間拓哉 外野手 早大
2位 古川雄大 外野手 佐伯鶴城高
3位 野田海人 捕手 九州国際大付高
4位 青山美夏人 投手 亜大
5位 山田陽翔 投手 近江高
6位 児玉亮涼 内野手 大阪ガス
 
 外野の層が薄く最大の補強ポイントだった中で、蛭間拓哉(早大)の1位指名に成功。強打が持ち味だが、外野の守備力、俊足にも定評がありバランスが取れた選手だ。まだその潜在能力を発揮しているとは言えず、伸びしろも十分にある。2位の古川雄大(佐伯鶴城高)は将来の主軸を張れる素材。西武は高卒の野手を育成する能力が高い。3位の野田海人(九州国際大付高)、5位の山田陽翔(近江高)と共にチームの顔になれるか。

楽天、ロッテ、日本ハムの採点は?


■楽天 ドラフト採点=80点
[指名選手]
1位 荘司康誠 投手 立大
2位 小孫竜二 投手 鷺宮製作所
3位 渡辺翔太 投手 九産大
4位 伊藤茉央 投手 東農大北海道オホーツク
5位 平良竜哉 内野手 NTT西日本
6位 林優樹 投手 西濃運輸
 
 荘司康誠(立大)の1位指名でロッテと競合したが、米田陽介球団社長が当たりクジを引き当てた。188センチの恵まれた体格から150キロを超える直球、カットボール、スプリットはいずれも質が高い。立大3年秋から台頭し、大学時代に目立った実績を残しているわけではないが素材は申し分ない。投手陣の高齢化が懸念される中、大卒、社会人の投手を5人指名。野手は平良竜哉(NTT西日本)のみ。フルスイングが魅力の「沖縄のアルトゥーベ」がチームに新風を吹き込む。

ロッテから1位指名された専大・菊地


■ロッテ ドラフト採点=65点
[指名選手]
1位 菊地吏玖 投手 専大
2位 友杉篤輝 内野手 天理大
3位 田中晴也 投手 日本文理高
4位 高野脩汰 投手 日本通運
5位 金田優太 内野手 浦和学院高

 1位指名で荘司康誠を指名したが抽選で外れ、菊地吏玖(専大)を指名。荘司とは対照的にズバ抜けた球はないが、ゲーム能力に長けた投手で計算できる。2位の友杉篤輝(天理大)は補強ポイントだった二遊間を守れる俊足の選手で、打撃もバットコントロールに長けてアベレージを残せる。開幕スタメンを十分に狙えるだろう。和製大砲が少ないだけに、大学・社会人のスラッガータイプを指名しないのが物足りなく映った。

日本ハム ドラフト採点=85点
[指名選手]
1位 矢澤宏太 投手 日体大
2位 金村尚真 投手 富士大
3位 加藤豪将 内野手 メッツ3A
4位 安西叶翔 投手 常葉大菊川高
5位 奈良間大己 内野手 立正大
6位 宮内春輝 投手 日本製紙石巻

 個性的な選手を好む日本ハムらしいドラフトとなった。1位の矢澤宏太(日体大)はプロの世界でも投打の二刀流で挑戦する。投打で無限の可能性を秘めているだけに、新庄剛志監督の起用法も注目される。2位の金村尚真(富士大)は他球団の1位の投手たちと実力では遜色ない。3位の加藤豪将(メッツ3A)は米国で生まれ育ち、MLBドラフトで日本選手初となる指名を受けた。「逆輸入」での3位指名が期待の大きさを物語っている。プレーだけでなく、そのハングリー精神はチームに好影響をもたらすだろう。

写真=BBM
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