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4勝8敗、勝ち点1――厳しい名門の現実に法大・加藤重雄監督は「決死の思いで、来年を迎えたい」

 

視線は早くも2023シーズンへ


法大の五番・浦[左]と左腕・尾崎[右]は東大2回戦[10月23日]で勝利し、連勝での勝ち点奪取に貢献した


 東京六大学リーグ戦第7週はシングルカード。神宮球場でヤクルトオリックスによる日本シリーズが開催されたため、午前10時から1試合が組まれた。

 法大と東大は勝ち点0同士で激突。つまり、勝ち点(2勝先勝)を奪ったほうが5位という一戦だった。法大は2連勝で最下位を回避した。5対0で勝利した東大2回戦(10月23日)後、法大・加藤重雄監督は「レベルの低いところで満足しているところではないが、東大さんから連勝できて、素直にうれしい」と語った。

 4勝8敗、勝ち点1。白星を挙げたのは立大1回戦と慶大2回戦。早大、明大とのカードは連敗と、シーズン中盤でV争いから脱落した。東京六大学で早大と並ぶ最多46度の優勝を誇る名門からすれば、厳しい現実である。

「今日という日は、いきなり来たわけではない。低迷のシーズン。つらい、悔しい気持ちでこのカードを迎えた。もっと本気になって取り組まないと、この舞台で成績は残せない」

 加藤監督は終始、険しい表情で話した。東大2回戦後の記者会見には6回無失点で勝利投手となった左腕・尾崎完太(3年・滋賀学園高)と、2回表に先制ソロ本塁打を放った五番・浦和博(3年・鳴門高)が取材に応じた。

 今季最終戦ではあるが、当然、その目は2023年シーズンへと向けられていた。

 今秋、主戦投手として期待された尾崎だが、この東大2回戦が今季初勝利。8試合に先発して1勝5敗、防御率5.45に終わった。来春こそ、エースとしてけん引する覚悟を語る。

「自分が成長することが、チームのためになる。一瞬一瞬、気を緩まず、死ぬ気で取り組んでいきたい。自分一人では勝てない。投手陣全員で勝つ」と語ると、加藤監督は「自分一人では勝てない、と言っていますが、一人で完封できるくらいの素材。尾崎が中心で回れば、相手のプレッシャーになる。高いところを要求したい」と、さらなる自覚を促した。

 今秋までにリーグ戦通算3本塁打の左のスラッガー・浦もこの冬、徹底的にバットを振り込んでいくことを誓った。

「守りからリズムを作り、この1球で仕留める勝負強さ。そのための技術を習得していかないといけない。個々のレベルを上げたい」

 加藤監督は10分の取材で、最後に言った。

「決死の思いで、来年を迎えたい」

 法大は20年春を制して以降、5位、4位、5位、4位、5位と不振が続く。名門再建への道は、簡単ではない。技術強化にとどまらず、学生野球の原点、グラウンド以外の取り組みに真摯に向き合うことが必要かもしれない。

文=岡本朋祐 写真=井田新輔
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