執念の継投を見せたオリックス
第4戦のヒーローとなった左から杉本、宇田川、山崎
パ・リーグ王者として意地がある。日本シリーズ第4戦(京セラドーム)。敗れたら王手をかけられる試合で、
オリックスが勝利への執念を見せた。
3回二死三塁から
杉本裕太郎の左前適時打で先制すると、先発の
山岡泰輔が4回まで無失点の好投。5回一死三塁のピンチを迎えると、
中嶋聡監督が動く。
宇田川優希をマウンドに送ると、
山崎晃大朗、
山田哲人を連続三振に仕留めて流れを渡さない。宇田川は6回も得点圏に走者を背負ったが無失点で切り抜ける。7、8回は
山崎颯一郎が走者を1人も出さない完ぺきな投球。9回は
ワゲスパックが先頭の
丸山和郁に二塁打を浴びたが、
サンタナ、代打・
宮本丈を空振り三振、2戦目で9回に起死回生の同点3ランを放った代打・
内山壮真を捕邪飛に仕留めて1対0で逃げ切った。
ヤクルトとの対戦成績を1勝2敗1分に。ネット上では、「
巨人ファンなので、普段はオリックスの試合を見ることはないのですが、出てくるピッチャーがみんなレベル高くてビックリです。球速はあるし、変化球のキレも一級品のピッチャーが次から次へと……。まったく羨ましい限りです」、「虎ファンです。ヤクルトの一方的なシリーズになると思いきや、オリックスが一矢報いた。実力が拮抗しているので両球団のベンチワークが面白い」などのコメントが見られた。
主導権を握ったヤクルト
球団史上初の2年連続日本一を狙うヤクルトに対し、26年ぶりの日本一の期待が掛かるオリックス。昨年と同じカードで、シリーズの主導権を握ったのはヤクルトだった。第1戦(神宮)で
山本由伸から4得点を奪い、5対3で先勝。第2戦(同)は3点差を追いかける厳しい展開だったが、9回無死一、二塁から代打・内山壮真の3ランで同点に。延長12回の末に引き分けに持ち込んだ。オリックスは守護神・
阿部翔太で逃げ切れず、白星を逃したダメージが大きい。第3戦(京セラドーム)は山田哲人が5回に先制3ラン。1、2戦目で9打数無安打5三振と沈黙していた主将が一番に抜擢されて輝きを取り戻す。先発の
高橋奎二が6回無失点の快投で、7対1と快勝した。
オリックスのキーマンは杉本
第5戦以降のオリックスのキーマンは杉本だ
オリックスが第4戦で1勝したが、ヤクルトが優位な状況は変わらない。
スポーツ紙デスクは、「エースの山本由伸が第1戦目で左脇腹を負傷して、このシリーズで投げるのは厳しい。打線もオリックスはつながりを欠くのに対し、ヤクルトは四番の
村上宗隆だけでなく、
塩見泰隆、
オスナも絶好調で控えの選手を含めて層が厚い。オリックスのキーマンは杉本裕太郎でしょう。杉本が打てば、
吉田正尚が勝負を避けられる場面が減る。打線に勢いが出ると思います」
ペナントレース最終戦まで熾烈な優勝争いを演じた
ソフトバンクとのクライマックスシリーズ・ファイナルステージでは、杉本の活躍が日本シリーズ進出につながった。第1戦で2安打2打点、第2戦でも決勝2ランを放つなど猛打賞3打点。打率.385、1本塁打、5打点とポイントゲッターとして申し分ない働きを見せた。
日本シリーズ第4戦はヤクルト投手陣に散発3安打に抑えられたが、杉本の先制適時打が決勝打となった。このシリーズでは好機で杉本に回ってくる場面が多い。ラオウのバットがオリックスの命運を握りそうだ。
写真=BBM