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「キャプテン力」「実戦力」「精神力」慶應義塾高がセンバツ出場“有力”の立場を手繰り寄せた3つの「力」

 

目標は日本一


慶應義塾高の主将・大村昊澄[2年]は攻守でチームをけん引。関東大会4強進出に大きく貢献し、来春のセンバツを手繰り寄せた


 慶應義塾高(神奈川)は専大松戸高(千葉)との関東大会準決勝(10月29日)で延長10回の末、3対5で惜敗した。来春のセンバツ甲子園へ重要な資料となる同大会。関東・東京の一般選考枠は「7」(関東5、東京1を基数とし、残り1枠は両地区の比較検討により選出)。すでに4強進出であり、試合内容からも、同校の選出は有力の立場と言える。

 神奈川2位(県大会準優勝)から関東大会で2勝を積み上げ、5年ぶりの春を手繰り寄せた理由は大きく3つある。

 まずは「キャプテン力」だ。

 二番・二塁の主将・大村昊澄(2年)のなくして、今秋の慶應義塾高は語れない。森林貴彦監督は「プレーの姿だけではなくて、言動でも引っ張るキャプテンシーがある。昨年、慶大で春秋連覇に貢献した福井章吾主将(現トヨタ自動車)を目標にしている、と。大村は実際に会い、学んだこともありました」と、全幅の信頼を寄せる。まさしく、攻守に躍動。背番号4は70人の全部員を統率している。

 次に「実戦力」である。

 森林監督は今秋の快進撃の要因を分析する。

「持っている力を、試合でも出せるようになった。つまり、自分のできることを、練習どおりに、お客さんがたくさん入った公式戦で発揮できる。実は、これが一番、難しいことなんです。主将の大村以下、この代の特長と言えるでしょう」

 最後に挙げたのは「精神力」である。

 慶大野球部でもメンタルコーチとして活躍している吉岡眞司氏から指導を受けており、ポジティブな心理状況でゲームを運べるようになったという。いつも、ベンチは前向きな声であふれている。相手の好プレーに対しても、下を向くのではなく「ナイスキャッチ!」と素直に称える。また「ありがとう!!」という言葉が、あちこちで聞かれた。どんなに劣勢の展開でも、前向きなスタイルこそが、より高いパフォーマンスを出すには最適なのだ。

 関東大会準決勝敗退後、主将・大村は言った。

「自分たちは、日本一になることが目標。この悔しさを70人の部員が忘れず、『この1球』にこだわり、一回りも二回りも大きくなって春を迎えたい」

 活動拠点の日吉台球場には「KEIO日本一」の横断幕が掲げられている。いくつもの苦しみを乗り越えた先に、楽しさがある。練習で切磋琢磨し、試合で成果を出す。いつの時代も、モットーである「エンジョイ・ベースボール」を追求していく。

文=岡本朋祐 写真=高野徹
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