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高校野球リポート

「注目されることをプラスに」名選手の父を持つ重圧がありながら清原勝児がハツラツとプレーできる理由

 

「チームの勝利」を最優先に


慶應義塾高・清原勝児は専大松戸高との関東大会準決勝で、七番・三塁で先発出場。3対5の10回裏二死、プロ注目の151キロ右腕・平野大地の前に遊ゴロで最後の打者となった


 NPB通算525本塁打を記録した清原和博氏(元オリックスほか)の次男・勝児は、慶應義塾高(神奈川)の三塁手(七番)である。

 今秋の神奈川大会で準優勝。神奈川2位校として出場した関東大会は、来春のセンバツの重要な資料。慶應義塾高は2試合を勝ち上がり4強進出を遂げ、5年ぶりの出場を有力とした。

 清原は常磐大高(茨城)との1回戦で本塁打(高校通算8号)。専大松戸高(千葉)に延長10回の末に惜敗した準決勝までの3試合で、10打数2安打2打点をマークした。父譲りの打力だけでなく、三塁守備は軽快で、幾度も好守を見せた。

 本格デビューを飾った今秋以降、公式戦のたびに、多くのメディアが試合後の取材で取り囲む。

「注目されることを、プラスに変えている」

 いつも笑顔で、報道陣の質問にハキハキと応じる清原。常に前向きであり、自身のプレーのことよりも「チームの勝利」を最優先に動いている。

 記録と記憶を残した名選手の父を持つ重圧は、本人にしか分からない。しかし、そんな素振りは一切見せない。なぜ、このような心理状況なのか。

 慶應義塾高校野球部では「メンタルコーチ」として、吉岡眞司氏から指導を受けている。清原は回顧する。

「高校に入ったときは、いろいろとプレッシャーがあったり……。そこでいろいろな人と出会って吸収、刺激を受けながら、人として成長している」

父からの言葉も支えに


2対2の6回裏二死一、三塁。一走がディレードスチールを試み、捕手が二塁へ送球すると、三走・清原は直後にスタートを切り、遊撃手の本塁悪送球の間に生還した。積極走塁も売りだ


 父からの言葉も、心の支えだ。帽子のツバの裏には、父直筆の文字が記されている。

「氣」

「己を信じてリラックス センター返し」

 父はPL学園高(大阪)で1年夏から3年夏まで、5季連続で甲子園に出場し、夏2度の優勝。歴代1位の13本塁打を放った。かつて父が躍動した舞台に立つ権利を次男・勝児が今秋、関東大会4強進出により手繰り寄せることができた。

 課題も出た。

 専大松戸高との関東大会準決勝では3対5の10回裏二死、プロ注目の151キロ右腕・平野大地の前に遊ゴロで、最後の打者となった。

「自分が想像していたよりも速くて、すごいピッチャーでした。しっかりと次は平野君の真っすぐを打ち返せるように頑張りたいです」

 清原は理想の打撃を語る。

「センター返しで、バックスクリーンにホームランを打ちたいです」

 173センチ80キロ。冬場は筋力アップを目指し、一層、ゲームで戦える体づくりに専念していくという。センバツ出場36校が決まる選抜選考委員会は来年1月27日で、開幕は3月18日。早くも2023年の球春到来が、待ち遠しい限りである。

文=岡本朋祐 写真=高野徹
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