週刊ベースボールONLINE

大学野球リポート

二部昇格まで「あと1勝」 村松伸哉監督代行は「勝敗なんてどうでもいいから、最高の1日にしよう」

 

5つのチーム指針


帝京平成大は10月から村松伸哉コーチ(後列)が監督代行として指揮する。前列左から四番・山本、主将でエース・更田


 2022年1月、東都大学野球連盟に加盟した帝京平成大が二部昇格へ王手をかけた。国士舘大との二部三部入れ替え戦(11月3日)を9対1と快勝した。

 主将のエース右腕・更田篤稔(4年・横浜高)が8回無失点に抑えれば、四番・山本大介(2年・高知中央高)が5回裏に3ラン。投打の柱が機能する最高の形で先勝した。

 帝京平成大は千葉県大学野球連盟を脱退し、22番目のチームとして今春から東都に参戦。四部リーグで12戦全勝優勝を遂げ、成蹊大との三部四部入れ替え戦では、連勝で三部に昇格した。今秋は9勝2敗1分、勝ち点4で三部優勝し、二部6位・国士舘大との入れ替え戦に臨んでいた。

 前監督が不祥事により9月末で退任。10月から村松伸哉コーチが監督代行として、チームの指揮を執っている。

 村松コーチは現役時代、身長190センチの本格派右腕として活躍。光星学院高(現八戸学院光星高)では巨人坂本勇人と同級生で、3年春のセンバツ出場(背番号10)。国学院大では1年春から3勝を挙げ、最速153キロを計測する鮮烈デビューを飾った。早大・斎藤佑樹(元日本ハム)とともに1年生で大学日本代表入りし、日米大学選手権では米国開催初優勝に貢献した。その後は不調で苦しむ時期もあったが、大学卒業後は社会人・新日鉄住金かずさマジックでプレー。15年に現役を引退し、清和大コーチを経て、帝京平成大で指導している。

 国学院大時代は竹田利秋氏(現総監督)、4年秋は鳥山泰孝氏(現監督)から指導を受けた。言葉の端々から2人の指導者からの影響力を強く感じる。野球のことよりも、それ以前の姿勢を重視。つまり、学生として人間的な成長にウエートを置く。10月に監督代行となって以降、5つのチーム指針を示した。

「あいさつ、礼儀、学校生活、整理整頓、全力疾走」

 つまり、基本の見直しに着手したのだ。

「心の部分。人間が強くなれば、プレーもしっかりしてくる。基本を言い続けている」

 34歳の若き指揮官は常日ごろから、準備について口酸っぱく言うが、試合になれば、気持ち良く学生を送り出す。大一番の入れ替え戦、しかも、舞台は神宮だが、平常心を強調した。

「勝敗なんてどうでもいいから、最高の1日にしよう、と。それをサポートするのが私の役割です」

 練習の成果を、試合で存分に発揮するだけ。帝京平成大は決して背伸びすることなく、1球1球を積み上げていく。入れ替え戦は、2勝先勝の勝ち点制。二部昇格まで「あと1勝」としたが、気負うことはない。そうした冷静さが、かえって不気味なのである。

写真=矢野寿明
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング