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村松開人&宗山塁の二遊間コンビがセンターラインを引き締め明大が春秋連覇

 

「インチ」にこだわる


明大の主将で二塁手・村松[左]と2年生の遊撃手・宗山[右]。二遊間がセンターラインを引き締め、春秋連覇を遂げた


 明大は球際に強い。春秋連覇を遂げた今季、12試合で3失策と鉄壁のディフェンス力を誇った。明大・田中武宏監督は「常日ごろからインチ、インチ。その差で決まってくる、と助監督(戸塚俊美氏)とも言ってきました。そのわずか数センチにこだわっていかないと、アウト、セーフの明暗が分かれる。頭で分かっていても、なかなかできないこと。4年生が率先して動いてくれた」と目を細めた。

 内野のカナメとしてセンターラインを引き締めたのが、主将で二塁手の村松開人(4年・静岡高)と、今夏は侍ジャパン大学代表でもプレーした宗山塁(2年・広陵高)の二遊間コンビだ。2人そろってベストナインを受賞した(村松は3年春に続き2回目、宗山は1年秋から3季連続受賞)。

 明大は第8週、9勝2敗1分、勝ち点4で全日程を終え、第9週(最終週)で優勝の可能性を残す、慶大の結果待ちだった(慶大が早大から勝ち点を奪取すれば、慶大優勝。慶大が勝ち点を落とせば、明大優勝)。慶大は1回戦(11月5日)、2回戦(6日)で連敗し、明大の2季連続42度目の優勝が決まった。

 明大は6日、リーグ優勝校が出場する明治神宮大会へ向けて練習。午後に神宮へ移動し、到着後はロッカールームで早慶戦を観戦した。6対9で慶大が敗退した瞬間は、グラウンド横の通路に控えていたという。

「早稲田と慶應、どちらに転んでも分からない展開……。他力ですが、素直にうれしいです。これまで、いろいろな方に支えられてきたので、お礼を言いたいと思います。自分一人の力では何もできない。チームメートの協力があったから。感謝したいです」(村松)

「春(試合があった立大3回戦で優勝)とは違う形での優勝の可能性。優勝を願って試合を見ていました。どうなるか、分からない。終わるまで、ドキドキでした」(宗山)

 2年秋の折り返しで通算61安打と量産する宗山は打率.354、4本塁打、15打点とチームの三冠王である。宗山の打点が多かった理由は、打率.348の一番・村松と、今秋からレギュラーに定着した二番・飯森太慈(2年・佼成学園高)による俊足ツートップにある。

 田中監督は「一、二番の足は今まで以上にプレッシャーを与えられた」と明かす。村松は6盗塁、飯森はリーグトップの9盗塁をマークした。得点は村松12、飯森10、そして宗山は11得点。四番・上田希由翔(3年・愛産大三河高)が10打点(2本塁打)と、チャンスでの勝負強さを見せた。村松は今年2月に受けた右ヒザの手術の影響で、春は代打で3試合のみの出場。主将を欠いても春のリーグ戦を制したのだから、明大の選手層の充実ぶりを物語る。今秋は村松が開幕からエンジン全開、あらためて主将の存在感を示した。10月20日のドラフトでは中日から2位指名を受けたが、即戦力として、期待は十分と言える。

リーグVは通過点


 明大はリーグ優勝を遂げたが、明治神宮大会への通過点にすぎない。

 天皇杯を手にした村松は言う。

「明治の野球は私生活が大事。抜かりなくやろうと、言ってきました。最終目標は日本一。チームを引き締めていきたいです」

 キャプテンの言葉を受けた2年生・宗山も、背筋を伸ばして言った。

「明治神宮大会はリーグ戦と違って、負ければ終わりのトーナメント。一つのミスが負けにつながる。今まで以上にスキのない練習。スキのない私生活をしていかないといけない」

 野球の技術アップ以前、学生としての日常生活、学校生活を重視するのが、メイジの伝統だ。かつて明大を37年率いた島岡吉郎元監督からの教えである「人間力野球」の徹底を、2人はあらためて強調した。今年6月の全日本大学選手権は準々決勝敗退と課題を残した。春秋連覇で一回りチーム力がアップ。村松は視野の広いリーダーらしく、こう締めた。

「他校よりも新チームのスタートが遅れるので、後輩たちにいいものを残したい」

 頼もしい先輩である。宗山も来年からは上級生。頼れる時間も、あとわずかである。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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