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リーグ戦初打席は右飛に倒れた慶大・清原正吾 V逸後、人目をはばからずに涙

 

2万2000人の観衆からどよめき


慶大の2年生・清原[右]はリーグ優勝を逃した早大2回戦後、四番・萩尾[左、巨人ドラフト2位]の胸の中で号泣した


 4対8で迎えた5回裏一死二塁。三塁ネクストサークルから打席へ向かったのは、背番号49だった。186センチ90キロの慶大・清原正吾(2年・慶應義塾高)である。NPB通算525本塁打を誇る清原和博氏の長男。場内アナウンスで「代打・清原君」がコールされると、2万2000人の観衆からどよめきが起こった。

 1球目はファウル。2球目の変化球を打ち上げ、右飛に倒れた。前日(11月5日)の早大1回戦で初めてベンチ入り。2回戦(同6日)で迎えたリーグ戦初出場だった。

 前日、慶大・堀井哲也監督は「状態が上がっていて、最近はゲーム形式や紅白戦など、チームで一番ホームランを打っている。(一塁)守備も非常に良いので」と25人のメンバー入りの理由を明かした。試合出場については「今シーズンは、レギュラーも固まっていますので……。ただ、ベンチ入りしている以上は、戦力として、いつでも行けるように準備してもらう」と明かしていた。

 慶大は早大戦で勝ち点(2勝先勝)を奪えばリーグ優勝という条件だったが、1回戦を落とす(4対5)。2回戦も序盤から主導権を握られる厳しい展開で、堀井監督はイキの良い下級生の一振りに期待したのだった。慶大は力及ばず、6対9で連敗。昨秋以来のリーグ制覇の夢は絶たれ、明大の優勝が決まった。

 試合後のあいさつを終えると、清原は人目をはばからずに涙を流した。同じ右打者の四番・萩尾匡也(4年・文徳高、巨人ドラフト2位)の胸の中で号泣する場面も見られた。2学年上の先輩を、兄のように慕っていた証しだ。

 試合後の会見では「僕自身も悔しいですし、何とか早稲田に勝って、神宮大会まで練習したかったですし、4年生ともっと楽しみたかった。情けない内容で、悔しくて、先輩に迷惑をかけてしまった。申し訳ない」と語ると、再び、涙があふれ出てきた。

 そして、こう続けた。

「もう、4年生と野球ができないことが信じられなくて……。悔しいです」

 右横では萩尾が、清原の言葉を聞いていた。

「スタンドのみんなと勝って喜ぶのをイメージしていたので、できなくて申し訳ない。後輩たちが、この思いをつないでくれたらいい」

 清原は来年に3年生、上級生の立場となる。萩尾のように頼られる存在となるために、泥だらけになって、練習を積んでいく。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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