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プロ野球はみだし録

「無償トレード」の不可解…ダイエーから巨人へ移籍してFAで復帰した小久保裕紀【プロ野球はみだし録】

 

主砲のトレードという衝撃


2004年から3年間、巨人でプレーした小久保


 広島長野久義が無償トレードで巨人へ復帰する。長野にとってはドラフトでは2度の拒否、3年の浪人を経て入団した巨人。FAの人的補償で広島へ移籍して、広島には4年間の在籍だった。

 日本シリーズも終わり、来シーズンの開幕までの、いわゆる“ストーブリーグ”。トレードはファンにとって、この“ストーブリーグ”のプロ野球を楽しむ数少ない手段だろう。トレードの中でも選手と選手の交換で成立するものは、ファンにとって最も分かりやすい形かもしれない。これで移籍となる選手を知っているから、新しいユニフォームを着る選手の活躍に思いを馳せたり、球団の損得で騒いだりと、楽しみ方も多様だろう。

 これが「金銭トレード」、つまり選手の移籍にあたり、その選手を獲得する球団が古巣の球団へ金銭を支払うトレードになると、やや分かりづらくなる。金銭の額は分かるが、なかなか庶民には実感しづらい額。これが安いだの高いだのと、楽しみ方もグラウンドから遠ざかっていく。ますます分かりづらいのが「無償トレード」。球団からの発表はあっても、どうしても憶測は飛び交い、ファンが憶測をはたらかせてしまうのも人情といえるかもしれない。プロ野球の歴史で最も憶測が飛び交ったのは、2003年の日本一に輝いたダイエーの主砲だった小久保裕紀がオフに巨人へ移籍した無償トレードだろう。

 選手と選手の交換であれ、チームの主砲がトレードで移籍するということは衝撃的なものだ。1988年オフに南海からダイエーとなって、本拠地も大阪から福岡へ移転、しばらくは低迷を続けていたものの、99年にダイエーとなって初のリーグ優勝、日本一を飾り、そのまま黄金時代に突入していたチームにあって、その2003年こそ故障で棒に振っていたとはいえ、黄金時代を代表する強打者の移籍は衝撃的というだけにとどまらず、不可解でさえあった。

 ただ、小久保は移籍1年目の04年に41本塁打、翌05年には34本塁打を放つなど巨人で完全に復活。3年間の在籍を経て、ソフトバンクとして生まれ変わっていたチームにFAで復帰して12年までプレーを続けている。

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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