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なぜ上位を維持できるのか 今夏甲子園で3回戦進出の二松学舎大付高が秋季都大会で決勝へ

 

「自信を持ってプレーできています」


二松学舎大付高は背番号7を着ける大矢が帝京高との準決勝で6回途中3失点とゲームメークした


 二松学舎大付高が帝京高との秋季東京大会準決勝(11月12日)を8対3で勝利し、決勝進出を決めた。

 来春のセンバツ甲子園の参考資料となる同大会。来年3月18日に開幕する第95回記念大会は例年よりも4校増の出場36校。この増枠にともない「東京・関東地区」の一般選考枠は、昨年から1枠増の「7」となっている。

 関東5、東京1は基数であり、残る1枠は両地区で比較検討される。つまり「関東6、東京1」か「関東5、東京2」で、東京大会における決勝進出は、大きな意味を持つのだ。

 二松学舎大付高は昨夏、今春、同夏と3季連続甲子園出場。母校を指揮する市原勝人監督は1982年春のセンバツ準優勝投手。指揮官として春4回、夏5回の甲子園へと導いているが、大会2勝を挙げたのは今夏が初めてだった。3回戦に進出し、他校よりも当然、新チームの始動は遅れる。しかし、キッチリと秋の東京大会に照準を合わせてきた。

二松学舎大付高の1年生四番・片井は4回裏に貴重な追加点となるソロアーチ。今夏の甲子園でも本塁打を放っており、高校通算16号とした。175センチ97キロと立派な体格だ


 帝京高との準決勝は、今夏の甲子園で本塁打を放った1年生四番・片井海斗がソロアーチを含む2安打3打点の活躍など、看板の強力打線は健在だった。2年生以下には8人の今夏の甲子園ベンチ入り経験者が残っている強みもあるが、なぜ、上位を維持できるのか。2つの視点から要因を探ってみた。

 背番号7を着ける右腕・大矢青葉(2年)はこう明かす。帝京高との準決勝は6回途中3失点と試合を作り、右腕・重川創思(2年)へとつないだ。この2人の継投が、今秋の二松学舎大付高の必勝パターンである。

「監督がうまく、自分たちを調整してくれる。気づいたことはすぐに指摘してくれたり……。何一つ不安なく、試合に入り、自信を持ってプレーできています」

百戦錬磨の指揮官の指導力


 指導者と生徒の信頼関係が抜群。世田谷学園高との準々決勝(10月30日)から、この日の準決勝まで2週間が空いた。

 生徒の気持ちを理解する、百戦錬磨の指揮官の指導力がここで、存分に発揮された。

 1週目と2週目で、強弱をつけたのである。

「最初の1週間はノーエラーノックなど、プレッシャーがかかる練習。準決勝までの1週間は自分たちの力が発揮できる練習と、ガラッと変えました。ノビノビやろう! 選手任せで、自由にやらせていました」(市原監督)

 ゲームに合わせたコンディションづくりに気を配った。大矢は練習の成果を語る。

「課題を克服するのは必要なこと。最終回の1点差をイメージしてきました。自分たちは接戦になってこそ、力が発揮できるんです」

 毎回の13安打と打ち込まれた帝京高・金田優哉監督は試合後「二松学舎さんのプレッシャーにやられてしまいました」と振り返った。具体的には「振れるし、見られる(7四死球)。低くて、強くて、プレッシャーのかかる打撃でした」と語った。147キロ右腕・高橋蒼人(2年)も「全球フルスイング。甘くいったら持っていかれる。圧がありました」と明かした。相手からすれば、相当な重圧のようだ。

 二松学舎大付高は決勝へ駒を進めたが、もちろん、ここで気を緩めることはない。4季連続甲子園、2年連続センバツを「当確」とさせるには、13日の決勝(対東海大菅生高)が大一番になるのは、誰もが分かっている。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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