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首都大学リポート

入れ替え戦にサヨナラ勝ちで先勝した城西大 チームをけん引する“主将・捕手”山本空/首都大学リポート

 

最優秀選手に選出


二部優勝の城西大は一部6位・明治学院大との一部二部入れ替え戦1回戦を9回サヨナラ勝ちで先勝。主将・山本空がけん引する


【11月12日】一部二部入れ替え戦
城西大8−7明治学院大
(城西大1勝)

 首都大学リーグ一部二部入れ替え戦(1回戦)が11月12日、サーティフォー相模原球場で行われ、開幕8連勝で二部優勝まで突っ走った城西大(8勝1敗)が一部6位の明治学院大と対戦した。

 城西大を今秋、攻守で引っ張ったのが主将で捕手の山本空(4年・下関商高)だ。キャッチャーを始めたのは高校3年からというキャリアも考慮し、城西大入学後は3年間、守備面を鍛えてきたという。

「何も分かっていなかったので、とにかく先輩に話を聞いて、何でも練習してきました。ストップについては体が固かったのでストレッチから始めたのですが、柔らかくなるにつれて止められる確率も高くなっていきました」

 スローイングにも時間を費やし、この秋のシーズンで最も印象に残る場面には、優勝がかかった明星大戦で1点リードの終盤を挙げた。ワンバウンドの投球で飛び出した一塁走者を二塁で刺した。「あのプレーで流れを持ってこられました」と振り返っている。

 今秋は二部リーグで2位のチーム防御率1.71と好成績を収めており「ピッチャーが得意な良い球を投げさせるように心掛けています。投手陣には『ワンバウンドになっても、後ろに逸らしたらオレのせいにしろ』と言っているので、どんどん強気で攻めています」とリード面も成長した。

 最終学年となり、打撃にも意欲的に取り組んできた。

「昨年から試合に出させてもらっていたのですが、チャンスで打てず悔しい思いをしてきました。今年は主将にもなり『キャプテンがここ一番で打てばチームが盛り上がる』と思ってバットを振り続けてきました」

 チームの全体練習が終わってから自主的に居残り、時には6〜7時間もバッティング練習を続けたこともあるという。その成果は数字に表れ、今春はリーグ7位の打率.360をマークし、捕手部門のベストナインを受賞。秋季リーグも主に三番として打率.333をマークしており、城西大・村上文敏監督は「キャッチャーは守備が重要なので打撃が弱いことも多いですが、クリーンアップを任せられているのはそれだけの実力があるということ」と評価。日本ウェルネス大戦ではリーグ戦で自身初となる本塁打も記録するなど活躍し、最優秀選手に選出された。

 ただ、本人としては「まだチャンスで打てなかった場面もありましたし、個人的には納得できていません。最優秀選手は主将として優勝したチームの代表として受け取っただけです」と満足する様子はまったくなかった。

主将の一打が呼び水に


 こうして迎えた入れ替え戦。明治学院大とは接戦の末に敗れる試合が続いており今春、2部で対戦した時も3対4で競り負けた。この試合の勝敗が大きく影響し、春季リーグ戦はわずか2ポイント差で、明治学院大が二部優勝。城西大は2位に終わっただけに「ずっとやり返したいと思っていた」とそのリベンジも兼ねた一戦となった。

 迎えた入れ替え戦1回戦。試合が動いたのは3回裏だった。一死満塁で打席に立った山本空は、詰まりながらもセンターへ先制打。主将の一打が呼び水となり、この回一挙5点を奪うビッグイニングに。その後、粘る明治学院大に一時は同点とされたが「厳しい展開になることは分かっていたので、マイナス思考にならないようにベンチで声掛けをしていました」とチームは前を向き続けた。すると、9回裏に代打・瀬良潤平(3年・市川越高)が左中間を破るサヨナラ打。互いに死力を尽くした一戦は8対7で城西大が制し、大事な初戦を取ることとなった。

「先に負けてしまうとムードも悪くなるので1戦目が大事だと思っていました。まず1勝できたので、このまま勢いに乗っていきたいです」

 大学卒業後は社会人野球の強豪・日本通運へ進むことが内定している山本空。「自分は有名な選手じゃありませんが、レギュラーを取りたい。そのために、今は守備も打撃も一から見直しています。元々、城西大に入ったのはプロになりたくて、レベルが高い関東で野球をやりたかったから。社会人でも、そのプロへ行きたいという気持ちは忘れずにやっていきたい」と抱負を語った。

 城西大の二部優勝は4季ぶりだったが、その20年秋はコロナ禍で入れ替え戦は実施されず、そのまま二部残留。「モヤモヤした思いがあった」というが、大学最後の置き土産として、16年秋以来となる一部復帰を目指す。

取材・文=大平明 写真=BBM
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