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川口和久WEBコラム

かなり気になるエスコンフィールドのファウルゾーン/川口和久WEBコラム

 

投手は厳しくなるか


札幌ドームで投げる日本ハム上沢直之


 日本ハムの新本拠地『エスコンフィールド北海道』のファウルゾーンがバックネット側まで60フィート(18メートルほど)が必要なのに15メートルしかないと分かり、問題となったが、2年での修正を条件にGOサインが出た。

 この球場は計画段階から注目して見ているが、屋根が開閉式で天然芝という球場自体もきれいだし、周辺に宿泊施設や子どもたちが遊べる遊具がそろい、サウナに入って観戦できるとか、野球場と言うより完全にボールパークだ。

 バックネットまでの距離も臨場感を増すためとは思うが、設計段階から分からなかったわけではあるまいし、すでに決着した話ながら、もっと早く他球団と協議すべきだったとは思う。

 少し気になったのは「3メートルくらいなら関係ない」という声があったことだ。関係ないわけがない。というか、ピッチャー目線で言えば、かなり気になる。

 既存の球場でもファウルゾーンの広さは違っていて、狭い球場はキャッチャーが近く見える。近く見えればいいじゃないかと言うかもしれないけど、現役時代は窮屈な感じがして落ち着かず、広いほうが大胆にいけた。

 さらなる問題は打ち取ったファウルがアウトになるかならないかだ。

 今回はバックネットまでだから左右のベンチまでがどうなっているのか分からないけど、それでなくとも近年は、せり出しの内野席が増え、ファウルゾーンが狭くなっている。

 ファウルフライがたとえば1試合で1つだけ捕れないとしても、それは1球だけの問題じゃない。そのあと3球でもアウトにできればまだいいが、ヒットを打たれたら10球近く変わってくるかもしれない。それが3つあれば……いや、そこまで今から心配しても仕方がないが、ホームである以上、日本ハムの投手陣は対策が必要かもしれない。

 キャッチャーも最初は戸惑うだろう。上を見上げながら視界が狭い状態でダッシュして追うわけだから、ファウルゾーンは頭に入っていなきゃならない。俺が巨人のコーチ時代、慣れない地方球場で阿部慎之助がファウルを追い過ぎて足を痛めたことがあった。あのときは広過ぎと今回とは逆だったが、最初はケガに気をつけながらやってほしい。

 ただ、いい宣伝にはなったよね。そんなみんなが大騒ぎするほど近い席からの観戦はどうなるんだろうって。

写真=BBM
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