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プロ野球はみだし録

「移籍でマンネリを防ぐ」上田利治監督。トレードで栄光を呼んだ阪急&オリックスの歴史【プロ野球はみだし録】

 

オリックス初のリーグ連覇では


1995年オフ、近鉄からオリックスにトレードされた大島[左]。イチロー[右]に続く背番号「52」を与えられた


 2022年にリーグ連覇、そして前年の雪辱を果たす日本一に輝いたオリックスの起源はプロ野球の幕開けから参加していた阪急で、1960年代から70年代にかけては黄金時代を謳歌していた。90年代のブルーウェーブ時代にもリーグ連覇の96年に日本一となったことがあった。

 阪急の黄金時代を築いた西本幸雄監督はトレードに熱心なタイプではなかったが、日本シリーズのポジショニングで逆を突かれた形となった正遊撃手の阪本敏三を、そのワンプレーのみで“放出”している。阪本を含む3人との交換トレードで東映(現在の日本ハム)から同じ遊撃手の大橋穣、捕手の種茂雅之を獲得。大橋は上田利治監督となって日本一に貢献した。

 その上田監督は「移籍によってマンネリを防ぎたかった。いつもチームに緊張感を作りたかったんです」と振り返るように、次々に大胆なトレードを断行。2年連続で日本一となった76年オフには投手の戸田義紀、逆転2ランで日本一を呼び込んだ内野手の森本潔ら4人との交換トレードで3人を中日から獲得して、そのうち投手の稲葉光雄は移籍1年目に17勝、三塁手の島谷金二はレギュラー定着などチームの主力となっている。

 チームがオリックスとなって初めてトレードで獲得したのは南海(ダイエー。現在のソフトバンク)の主砲だった門田博光だが、劇的に明暗が分かれたのは92年オフのトレードだろう。強打のスイッチヒッターで内野手の松永浩美との交換で阪神から投手の野田浩司を獲得。阪神では故障に苦しみ1年でFA宣言、ダイエーへ移籍した松永の一方で、野田は移籍1年目に17勝で最多勝と開花して、以降3年連続2ケタ勝利と活躍する。

 その3年目こそ、オリックスとして初のリーグ優勝を飾った95年だ。そのオフには近鉄と2対2のトレードを敢行。このとき近鉄から来た大島公一はイチローに続く背番号52を与えられ、その期待に応えて正二塁手に。リーグ連覇を決めたのはイチローのサヨナラ打だったが、このとき本塁を踏んだのが大島だった。大島は巨人との日本シリーズでも活躍して日本一に貢献、優秀選手賞に選ばれている。

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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