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小幡竜平、前川右京、井上広大…岡田監督が「素材を絶賛した若手」たち

 

チーム改革に乗り出す新監督


遊撃のレギュラー候補として岡田監督から期待されている小幡


 岡田彰布監督が就任した阪神が、チーム改革に乗り出している。

 大山悠輔を一塁、佐藤輝明を三塁の守備位置で固定し、遊撃手の中野拓夢を二塁にコンバートする可能性を示唆し、遊撃のレギュラーが白紙になったことで、選手たちの目の色が変わる。ブレーク候補の一人が小幡竜平だ。高卒4年目の今季は49試合出場で打率.188、1本塁打、5打点。主に二塁で出場していたが、岡田監督は強肩と遊撃の広い守備範囲を評価。指揮官の要望で、フェニックス・リーグでは遊撃に固定して起用された。プレーの精度を高めなければいけないが、潜在能力は高い。

 強打者の育成も重要な課題だ。岡田彰布監督は週刊ベースボールのコラムで、こう綴っている。

「楽しみといえば、若手のバッターの成長過程だ。オレは以前から不思議に思っていたことがある。どうして阪神には高卒の野手がレギュラーになれないのか、という点なんよ。ヤクルト村上宗隆巨人岡本和真など他球団には高卒から数年でチームの軸になる選手が出現しているのに、タイガースには一向に気配がない。これを何とかしたい。オレの監督としてのテーマのひとつなんだけど、ようやくその『素材』に出会った気持ちになった。それがプロ1年目を終えた前川右京よ」

力強いスイングが魅力の前川


「オレはもともと高校野球をよく見る。春、夏の甲子園のゲームで、キラリと光る選手が現れる。例えばDeNA大和。彼の守備は魅力があった。無名ではあったが、球団にドラフトで指名すべきと進言した。そういう経緯と同様のものを前川に感じていた。何より『強く振れる』のが最大の長所なわけ。スイングの強さはピカイチだったし、『この選手はいいぞ』と見ていた。だから今回、秋季キャンプに参加させた。細かいことはさておき、このキャンプで大きく、そして長所をさらに伸ばしてくれれば、と願っているわけよ」

 智弁学園で高校通算37本塁打をマークした前川は、高卒1年目の今季に才能の片鱗を見せた。3月13日のオープン戦・巨人戦(甲子園)でスタメンに抜擢されて2安打を放つ。開幕一軍入りが期待されたが、上半身のコンディション不良で戦線離脱。6月7日に実戦復帰したが、わずか5日後に試練に見舞われる。ファームの試合に出場した際、左翼の守備でフェンスに衝突。負傷交代して再び戦列を離れ、一軍デビューは来季以降に持ち越しとなった。

もう1人の期待の成長株


秋季キャンプで大きくバッティングが変わってきた井上


 岡田監督は、期待の成長株にもう1人の和製大砲も挙げている。

「そして楽しみ第2弾が井上広大である。一軍の経験はあるが、評価としては伸び悩みというところやった。だが、ここにきてバッティングが変わったとオレは見た。いわゆる『前さばき』が身につき、劇的な変化が出てきた。みやざきフェニックス・リーグの最終盤になったころ、ポイントを前にすることが身についたようで、このキャンプでは最もいい打球を放っている。この2人がどれほど成長していくか。よければ使う。そこには年数とかは関係ない。いい者は起用する。この競争原理に従って、ポジションを獲るくらいになってくれれば。そうなれば高卒野手は育たない……という呪縛から解放される」

 身長187センチの体格から豪快なスイングで飛距離はチーム屈指。履正社高で高校通算49本塁打をマークするなど高校時代からその名を轟かせていたが、高卒3年目の今季は2試合出場のみと一軍に定着できる水準に達していない。ウエスタン・リーグで最多安打(96安打)のタイトルを獲得したが、打率.222、11本塁打、70打点と確実性を高める必要がある。岡田監督やコーチ陣の指導で覚醒できるか。

 小幡、前川、井上がレギュラーを奪取するほどのレベルアップを見せれば、チーム全体の底上げにもつながる。若虎たちの躍動に期待したい。

写真=BBM
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