注目は原監督、阿波野コーチの視点
今年Bクラスに終わった原ジャイアンツ。現時点では大きな補強もなく、俺の周りには「このまま暗黒時代に入っていくのでは」と心配するファンも多い。
OBの1人として「大丈夫!」と太鼓判を押したいところだが、冷静に分析していくと巻き返しは簡単ではない。
現状、抑えの
大勢が2年連続で頑張ってくれるという前提であるが、
巨人の大きな課題は先発、中継ぎにある。
特に先発は投手キャプテンとなった戸郷翔征、ベテランの
菅野智之を軸にし……なのだが、次の指が折れない。確かに
山崎伊織、
井上温大ら楽しみな成長株は多いが、来年、143試合のシーズンを通し、パワーとスタミナを維持できるかと言えば簡単ではない。
新外国人投手の補強はあるだろうが、日本の打者が高身長投手、動く球への対応力が高くなったこともあり、先発で救世主と言えるような選手を期待するのは楽観的過ぎると思う。
プラス材料は来季の新人だ。近年はアマ球界のレベルが上がり、大学出、社会人出身の完成度が高い。今年も大勢だけでなく、
赤星優志が5勝を挙げ、戦力となった。
あらためて元投手コーチ視点で、新人の映像を見た。育成を除けば5人だけだが、1、2位と野手のあと、3位が国学院大の189センチ右腕の
田中千晴。身長が高く角度もあり、能力の高いピッチャーだと思う。ただ、指に掛かると素晴らしい球を投げているが、まだ少し体幹が弱いこともあり、抜ける球がある。まずは体を強化し、二軍で経験を積み、一軍戦力は夏以降だと思う。
ほか5位に西濃運輸の
船迫大雅がいるが、このピッチャーは即中継ぎで使えるだろう。上背はないが、右サイドで球威は十分ある。体幹が強く、リリースがしっかりし、スライダーという武器もある。
支配下ではないが、川口一番の期待は育成1位の明星大の
松井颯だ。球速はさほどではないが、コントロールがよく、あとはスライダーがいい。現時点で一軍クラスの球だと思う。すぐ支配下に上がってくると思うし、早めに一軍でも使えるはずだ。ただ、いきなり先発の軸になれるかと言えば、それは難しいだろう。
投手コーチ目線で、来季の巨人を考えると、忙しくなりそうなシーズンだ。菅野が以前のように無双状態になれば別だが、飛びぬけた存在がいない中、若い選手をうまくやり繰りして使っていくしかない。
おそらく我慢が必要な時期、非情に徹しなければいけない時期と両方があるだろうが、一つポイントになるのは、
原辰徳監督と新任の
阿波野秀幸投手チーフコーチの視点だ。
見ている景色が違うと、いいときはいいが、結果が出ないとどうしたってうまくいかなくなる。
そういう意味では阿波野コーチの手腕にかかる部分は大きい。厳しい言い方になるが、ここがはまらないと、再びBクラスの可能性もある。
もちろん、俺の思ったことなど、原監督は百も承知でプランを練っているとは思うけどね。
写真=BBM