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ヤクルトのマクガフが退団へ 「それでも来季の優勝候補の大本命」の理由は

 

日本で投球技術を磨いて


NPB4年間で80セーブ、59ホールドを挙げたマクガフ


 ヤクルトのリーグ連覇に不可欠だった男がチームを去る。メジャー復帰を目指し、退団することが決まった守護神のスコット・マクガフだ。

 マクガフは日本の野球で投球技術を磨き、大きく成長した助っ人右腕と言えるだろう。メジャー通算6試合登板と目立った実績はなく、19年にヤクルトに入団。セットアッパーで結果を残すと夏場から抑えに回り、65試合登板で6勝3敗11セーブ18ホールド、防御率3.15をマーク。翌20年は50試合登板で4勝1敗23ホールド、防御率3.91の成績を残す。

 昨年は5月下旬から守護神に配置転換され、6月に月間10セーブの球団新記録をマーク。66試合登板で3勝2敗31セーブ14ホールド、防御率2.52と来日以降で最高の成績を残す。最下位からリーグ優勝、日本一に輝く原動力となったが、心身共にタフな右腕はさらに高みを目指し、向上心旺盛だった。

 今季は開幕から18試合連続無失点と春先から抜群の安定感。制球力が改善したことでピンチを背負う機会も減った。55試合登板で2勝2敗38セーブ4ホールド、防御率2.35をマーク。マクガフは今年5月に週刊ベースボールのインタビューで「コントロールの向上は課題のひとつで、オフシーズンにしっかりと取り組んできました。また、伊藤(伊藤智仁)コーチ、石井(石井弘寿)コーチからいただいたアドバイスも生かすことができているので、良い結果につながっています」と自身の投球への手応えを語っていた。

若手に慕われるナイスガイ


 日本シリーズでは第5戦、第6戦と2試合連続で一塁へ悪送球の失策から失点して本来の力を発揮できなかったが、リーグ連覇に貢献するなどこれまでチームを再三救ってきた活躍を考えれば責められないだろう。

 マウンド上では表情一つ変えず淡々と投げるマクガフだが、チームにすっかり溶け込み、首脳陣、ナイン、チームスタッフと笑顔でコミュニケーションをとる姿が見られた。「“ブルペン兄貴”と言われていますが、立場はみんなと一緒。勝利のために自分の仕事を全力で務めることに変わりはありません。ただ、若い選手がたくさんいるので、できることはしてあげたいし、助け合いながらやっていきたいと思っています。あとは常に楽しみながらプレーするというのを心掛けています」と話す。若手に慕われるナイスガイだった。

力があるリリーバーがそろう


 マクガフが退団したことで、今オフは抑えを務める外国人の補強が急務となる。ただ、スポーツ紙デスクは「来年もヤクルトが優勝候補の大本命であることは変わらない」と分析する。

「マクガフは確かに素晴らしいクローザーでしたが、ヤクルトは力のあるリリーバーがそろっている。昨年NPBシーズン最多の50ホールドをマークするなど、球界を代表するセットアッパーとして活躍した清水昇は抑えの有力候補になるでしょう。今季チームトップの9勝を挙げた木澤尚文も150キロを超えるシュートを武器に、相手をねじ伏せる投球スタイルで抑え向きと言える。石山泰稚も抑えを務めた経験があるだけに、返り咲きたい気持ちが強いはずです」

 新外国人投手を含め、高津臣吾監督と投手コーチたちがリリーフ陣をどう整備するか。球団史上初のリーグ3連覇に向け、最重要テーマであることは間違いない。

写真=BBM
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