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プロ野球はみだし録

昭和の黄金時代はトレードに始まる? 新井&黒田の復帰で平成のV3を呼び込んだ広島【プロ野球はみだし録】

 

“凱旋”で呼び込んだ歓喜


広島復帰2年目の2016年、25年ぶりの優勝に貢献した新井


 創立73年を迎えた広島。2リーグ制となってプロ野球に参加した際、結成に加わったのが巨人白石敏男(勝巳)で、プロ野球が始まったときからプレーしていた白石にとっては、広島への移籍は地元への凱旋でもあった。ファンがFAで他のチームへ移籍した選手に独特な感情を持つ印象もある広島だが、一方で、広島へ加入する選手にはドラマが多い。

 初のリーグ優勝は1975年。このとき移籍1年目だったのが大下剛史だ。やはり地元の出身でもある大下は、かつて東映というチームだった日本ハムが古いチームカラーを刷新するべくトレードという形で放出した最初の主力。だが、地元への“凱旋”で燃えた大下は開幕戦から本塁打を放ち、まさに“斬り込み隊長”という活躍でチームを歓喜へと引っ張っていく。

 初の日本一は、2度目のリーグ優勝となった79年。このときのMVPが江夏豊だ。2チーム目の南海(現在のソフトバンク)で移籍を志願した江夏は、金銭トレードで77年オフに広島へ。南海でもリリーバーとして活躍していた江夏だが、広島を日本一に導いたことによって、リリーフエースとして絶対的な地位を築くことになる。ちなみに、このとき江夏につなぐ役割を担っていたのが同じ左腕の大野豊で、江夏の日本ハム移籍からは江夏の役割も継承。その後は先発、救援を問わず98年まで広島ひと筋で投げまくって、通算100勝100セーブを達成した。

 4年ぶりの日本一イヤーとなった84年にリリーバーとしてフル回転したのが小林誠二だ。2年連続で日本一となった80年オフに西武へ移籍していた小林は復帰1年目から防御率2.20で最優秀防御率に輝いているが、平成のリーグ3連覇も選手の復帰でチーム全体が勢いづいた印象がある。2007年オフにFAで阪神へ移籍していた新井貴浩が14年オフに自由契約を志願して、最終的に広島へ。やはり“凱旋”となったのがメジャーで活躍していた黒田博樹だ。ともに復帰2年目となる16年に広島は25年ぶりリーグ優勝。新井は通算2000安打、黒田は日米通算200勝を、それぞれの原点でもある広島で飾って、四半世紀ぶりの歓喜に花を添えた。

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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