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巨人・大城卓三はもっと評価されるべき?「球界代表する捕手になれる」の期待が

 

捕手としての資質は高い


今季も殻を破り切れなかった大城


 3年ぶりのV奪回を目指す巨人で、活躍してもらわなければ困る選手がいる。扇の要として期待される大城卓三だ。

 今年は攻守に精彩を欠いた6月上旬に故障以外で初のファーム降格を味わったが、8月以降は打率.318、5本塁打、16打点と打撃は快音を響かせた。規定打席には届かなかったが、115試合出場で打率.266、自己最多の13本塁打、43打点をマーク。この数字は他球団の正捕手と比べると最も良い数字で、今オフに西武からオリックスにFA移籍した森友哉の打率.251、8本塁打、38打点を上回る。首位打者の獲得経験がある森が本来の状態を取り戻せなかったことを差し引いても、大城の打力は捕手でトップクラスと言える。守備面でもスローイングが課題だったが、昨年にリーグトップの盗塁阻止率.447を記録。今年もヤクルト中村悠平に次ぐリーグ2位の.349をマークしている。

 巨人を取材するスポーツ紙記者は、「捕手としての資質は間違いなくハイレベルなものを持っている。ただ物足りなく感じるのはチームが昨年、今年と優勝を逃しているのが大きく影響していると思います。捕手はチームを勝利に導く上で大きなウエートを占める。若手中心の投手陣を大城が引っ張らないと。29歳で捕手としてこれから脂がのり切る時期です。殻を破れば、球界を代表する捕手になる可能性を十分に秘めている。捕手でシーズン全試合に先発マスクをかぶる気概を持ってほしい」と期待を込める。

元監督が呈した苦言


 大城の課題で挙げられるのが、配球面だ。球団OBの堀内恒夫氏は週刊ベースボールのコラムで、こう指摘している。

「大城のように長打力があって2ケタ本塁打を期待できるようなバッティングは魅力だよ。でも、キャッチャーは、キャッチングとリードを中心とした守りが基本だからね。さらに突き詰めれば、ゲームに出ているキャッチャーは監督の代理みたいなものだからさ。それだけに、俺は大城のリードに関して苦言を呈したくなるんだ。大城は1ストライク、2ストライクを取るまでのリードは、球界ナンバーワンだと言っても良いだろう。しかし、2ストライクを取ってからの勝負球に関しては最低と言ってもいいくらいのキャッチャーだ。だから、一流の域へ到達できないで、中途半端な位置で宙ぶらりんのままなんだ」

リードに感じられない意図


「まともなキャッチャーは、2ストライクまで追い込んでからのボールを生かすためにリードを組み立てる。カウントを整えることによって、勝負球を決めるから、手堅いリードができる。それを大城は行き当たりばったりのリードだから、最後は八方ふさがりになってしまうんだね。最初から、スライダーやフォークのような決め球を使ってしまうから、追い込んでから投げる球がなくなってしまうんだよ。いったい何が勝負球なの? ということになる。だから、リードというものに意図が感じられないんだね」

 厳しい言葉は、期待の高さゆえだろう。球界を代表する名捕手として知られる谷繁元信城島健司も若手の時はリード面で辛辣な評価を受けることが多かったが、経験を重ね、頭をフル回転して配球を突き詰めることで、常勝球団の正捕手に上り詰めた。もちろん、その道のりが険しいことは間違いない。大城は誰もが認める巨人の正捕手になれるか。

写真=BBM
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