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正捕手奪回狙う巨人・小林誠司 「あの守備力なら打率2割5分で十分」の声が

 

守備面は球界トップクラス


今季も打率1割台と打撃に苦しんだ小林


 文字どおり、背水の陣だ。巨人小林誠司は来年が4年契約最終年の4年目を迎える。今季は60試合出場で打率.148、0本塁打、5打点。捕手でのスタメン出場は29試合と、ライバルの大城卓三の104試合に大きく差をつけられた。

 10月にジャイアンツ球場で行われた秋季練習では、「デーブ」の愛称で知られる大久保博元打撃チーフコーチにマンツーマンで連日指導を受ける姿が見られた。球団OBで野球評論家の川口和久氏は週刊ベースボールのコラムで、「俺が一番やってほしいのは、デーブと同じ背番号22の右バッター、小林誠司の打撃だ。彼は肩が強いし、キャッチングもうまい。ついでに言えば顔もいい。ただ、とにかく打てない。今の野球は下位打線にも打力が求められ、捕手だから打たなくていいわけではない。巨人には大城卓三がいるし、このままじゃ小林は、来季も今季のように試合終盤の守備固め的な起用か、あるいはトレード要員になってしまう。もったいないと思う。誠司は時々、天才的な打撃をするが続かない男だ。デーブの力で打力を本物にすれば、捕手2人体制ができ、大城は時にファーストも守らせながらで、打線の層や破壊力が明らかに増す」と期待を込める。

 巨人を取材するスポーツ紙記者も、川口氏の意見に同調する。

「守備面だけで言えば球界トップクラスでしょう。小林は数字に表れない魅力がある。投手の持ち味を引き出す配球で、一塁に走者を出しても盗塁を阻止してくれると絶大な信頼を寄せられていた。かつて菅野智之山口俊が先発する試合は小林がスタメンマスクをかぶっていました。課題は打撃に尽きます。セ・リーグは投手が打席に入るので、小林が打率2割に満たないようでは打線が切れてしまい、得点力に影響してくる。打率2割5分を打てば十分なのですが、その数字は決して簡単ではない。正捕手獲りが年々厳しくなる中、来年は存在意義が問われるシーズンになります」

1年目は打率.255をマーク


 アマチュア時代から下位を打つことが多かったが、プロ入り当初は決して打撃が悪くなかった。新人の2014年は63試合出場で打率.255、2本塁打、14打点をマーク。守備でも盗塁阻止率.417を記録し、リーグ3連覇に貢献した。17年のWBCでは侍ジャパンの正捕手として全7試合に先発出場。チームトップの打率.450、1本塁打、6打点の好成績で躍動した。

 ただ、シーズンでは規定打席に到達した16年が打率.204、4本塁打、17年も打率.206、2本塁打と結果を残せない。守備面では16年から4年連続リーグトップの盗塁阻止率をマークしたが、大城が守備面を磨いて出場機会を増やしたことで小林の影が薄くなっていく。20年は度重なる故障で10試合出場にとどまり、打率.056、0本塁打。昨年も64試合出場で打率.093、1本塁打と悔しい結果に。今季も球団野手ワースト2位タイの40打席連続無安打とスランプから抜け出せず、苦しんだ。

ファンからの期待は高い


10年目の来季、周囲の期待に応えられる成績を残せるか


 思うような結果が残せないシーズンが続いているが、ファンの人気は根強い。今年の球宴ではファン投票で大城を上回る投票数を獲得し、プラスワン投票で、投打の二刀流で話題になった根尾昂(中日)を抑えて選出された。

 打撃練習でサク越えを放つなど非力なわけではない。来季は節目のプロ10年目。正捕手争いで大城を脅かす存在になり、意地を見せてほしい。

写真=BBM
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