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社会人野球リポート

法大出身者が5人! 社会人ベストナイン&個人賞が発表 

 

チーム別ではENEOSが最多


2022年の社会人表彰で法大出身者が5人を占めた[左からNTT東日本・中村、ENEOS・川口、トヨタ自動車・多木、王子・吉岡、トヨタ自動車・佐藤


 2022年社会人野球表彰式が12月13日、東京都内のホテルで行われた。ベストナインと個人賞の表彰選手は下記である。

【ベストナイン】
※所属の横は出身校、年齢、受賞回数
▼投手
柏原史陽[ENEOS]同大 29歳 初
▼捕手
柏木秀文[ENEOS]城西国際大 33歳 初
▼一塁手
地引雄貴[東京ガス]早大 32歳 初
▼二塁手
佐藤勇基[トヨタ自動車]法大 24歳 初
▼三塁手
川口 凌[ENEOS]法大 26歳 初
▼遊撃手
中村 迅[NTT東日本]法大 23歳 初
▼外野手
度会隆輝[ENEOS]横浜高 20歳 初
内山京祐[NTT東日本]中大 24歳 初
多木裕史[トヨタ自動車]法大 32歳 3
▼指名打者
山崎 錬[ENEOS]慶大 32歳 初
【個人賞】いずれも初受賞
▼首位打者賞
吉岡郁哉[王子]法大 26歳 打率.471
▼最多本塁打賞
度会隆輝[ENEOS]横浜高 20歳 7本塁打
▼最多打点賞
度会隆輝[ENEOS]横浜高 20歳 21打点
▼最多勝利投手賞
片山雄貴[Honda熊本]駒大 29歳 6勝
▼最優秀防御率賞
柏原史陽[ENEOS]同大 29歳 防御率0.74

 全体で12人が受賞したが、チーム別の複数受賞者ではENEOSが最多5人、NTT東日本が2人、トヨタ自動車が2人。出身校別では、法大から5人が栄誉を受けた。これほど、一つの大学に受賞者が集中するのも珍しい。

認められたリーダーシップ


 ENEOSは今年7月の都市対抗で9年ぶりの優勝。入社2年目の2020年から主将としてけん引してきた川口凌は今夏、栄光の黒獅子旗を手にした。社会人日本選手権でもベスト4へと導き、年間打率.329の活躍と抜群のリーダーシップが認められた。川口は横浜高では高浜祐仁(現阪神)、淺間大基(現日本ハム)、渡辺佳明(明大を経て楽天)、伊藤将司(国際武道大、JR東日本を経て阪神)と同級生。法大では4年間で通算73安打を放っている。

「ENEOSから5人受賞? チームとして良い成績を残せたので、何人か選ばれるかな? とは思いましたが、自分を含め、まさか5人も! と。個人のことを考えている人はいません。チーム勝利のため、その結果がベストナインという評価につながったと思う」

 ENEOSは19年まで4年連続で都市対抗出場を逃す低迷期があった。20年に大久保秀昭監督が復帰し、名門再建へと尽力した。「チームを変えたい!」とキャプテンに立候補し、懸命に汗を流してきたのが川口である。

「しんどいときもありました。年々勝てるようになって(20年都市対抗2回戦進出、21年都市対抗8強)、強くなる過程を体感できた。優勝して終わりではなく、常勝でなくてはいけない。来年は都市対抗連覇と社会人日本選手権優勝。『年間王者』が目標です」

 川口と法大で同級生だった王子・吉岡郁哉は首位打者賞を受賞。智弁学園高では巨人岡本和真とクリーンアップを組んだ。大学時代は4年間で規定打席に到達したことがなく、社会人4年でトッププレーヤーへと上り詰めた苦労人だ。「個人としてはうれしいですが、チームは3年連続で都市対抗出場を逃している。来年は目標の日本一を目指して頑張りたい」と意気込みを話した。

 都市対抗4強、社会人日本選手権優勝のトヨタ自動車からは入社10年目で、32歳のベテランである多木裕史が2016、17年に続いて3度目のベストナイン受賞だ。また、二塁手の佐藤勇基は公式戦19試合すべてに出場し、好打と守備力も評価され、入社2年目で栄誉を手にした。佐藤は元中日投手・佐藤秀樹を父に持ち、中京大中京高3年時は高校日本代表の遊撃手として活躍。法大での定位置奪取は最終学年の4年と、努力を重ねてきた。

「2年間、勝てない時期が続き、3度目の今回が一番、うれしいです。若い選手が日本一を経験し、チームとしても弾みがつく」(多木)

「入社から目標にして、2年目で獲得できたことに関してはうれしいです」(佐藤)

社会人で頑張った成果


 また、トヨタ自動車・佐藤と同級生で法大時代は主将を務めたNTT東日本・中村迅は遊撃手部門でのベストナイン受賞。都市対抗4強、日本選手権準優勝での活躍はもちろんのこと、侍ジャパンU-23代表の主将としても日の丸をけん引した。U-23W杯(台湾)では世界一へと導き、日本野球連盟から特別賞が受賞された。中村は「世界一を獲れたのも、サポートしていただいたみなさんのおかげです」と喜びを口にしたが、自チームにはついては「1年間を振り返ると優勝できずに終わり、悔しいシーズンだった」と本音を口に。2023年シーズンの巻き返しを固く誓っていた。

 川口は法大出身者が受賞者を占めたことについてこう語る。

「発表を見たときにはエッ! と驚きました。多木さんと中村は、東京六大学でベストナインを経験していますが、私を含めて3人は受賞歴がありません。社会人で頑張ってきた成果が出たのかな、と。法政の後輩にも、少しでも刺激になってくれればうれしいです」

 受賞5選手の中で最年長の多木は、写真撮影の際に「また、頑張ろうな!!」と健闘を誓い合ったという。大学同士のつながり、絆とはやはり、特別である。大学卒業後の社会人でのプレー継続を目指す現役学生にとっても、この上ない影響力を与えたことは間違いない。

文=岡本朋祐 写真=榎本郁也
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