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川口和久WEBコラム

藤浪晋太郎をWBCで見たい!/川口和久WEBコラム

 

190センチ超のリレーでアメリカ代表を完封!



 ポスティングシステムを行使した吉田正尚が5年122億円、千賀滉大が5年102億円と言われる、とんでもない高額の契約でMLBに移籍した。昔は失敗を恐れず挑戦、と言われたが、この契約なら、挑戦というほどギャンブルでもない。時代は変わった。

 西武高橋光成をはじめ、各チームのエースクラス、さらにヤクルトの若き主砲・村上宗隆が、来季以降ではあるが、次々メジャー挑戦希望を明言。日本球界がMLBの育成組織になりつつある寂しさはあるが、これだけ日本球界と年俸が違うと、もはや選手を引き留めることはできないだろう。

 こうなれば、「軒先を貸して母屋……」の逆パターンで、日本人選手がMLB各球団の主役になることを期待したほうがいいかもしれない。

 今の日本人選手の好評価は、エンゼルスの大谷翔平が、投打で日本人選手の可能性をアピールしてくれたことが大きい。ただ、こと投手においては、これまでの蓄積もある。

 野茂英雄から始まるMLB挑戦者だけではなく、日米野球でも150キロ台後半の真っすぐとスプリット(フォーク)があれば、それなりに通用していた。これはMLB側もデータとしてあるはずだ。

 次の注目は大谷と同期の阪神の藤浪晋太郎となる。まだ決定はしていないようだが、メジャー用のグラブを発注したり、家を引き払う準備をしたりという報道もあった。発表は時間の問題なのだろう。

 彼については何度も書いているが、とにかくもったいない。あんな背が高く、あんなすごい球を投げるのになぜって。俺だけじゃなく、プロ野球の投手OBはみんな思っているんじゃないかな。

 彼には160キロの真っすぐと切れ味鋭いスライダーがあり、スプリットもいい。それぞれの球種の質をピックアップすれば、メジャーで通用しないほうがおかしい男だ。

 だが、制球難とメンタルからの自滅があまりに多かった。特に右打者頭部あたりに抜ける球があり、それを投げまいと意識しすぎることでピッチングを窮屈にしていた。

 環境が変わることで精神面をうまくリセットできればだが、メジャーの野球自体は藤浪に合っていると思う。長身選手が多く、必然的にゾーンが広い。ベースから離れて構えるタイプが多いので、制球は多少アバウトでも、藤浪の持ち味である強い球をどんどん投げ込んでいけば、十分通用する。振り回してくる早打ちも多いしね。

 もったいない、もったいないと言っているうちに、すっかり藤浪びいきとなった俺は、そう期待している。

 で、夢ついでだが、俺はWBCで投げる藤浪を見たい。

 今回のWBCは大物メジャー・リーガーが次々参加を表明し、ハイレベルな戦いが予想される。

 そこで日本代表が決勝に進出し、アメリカと対戦したとする。
 俺が見たいのは、藤浪だけじゃなく、大谷、ロッテ佐々木朗希ダルビッシュ有と、オール190センチ超え選手の完封リレーだ。

 日本らしいスモールベースボールもいいが、アメリカ打線を相手に、日本代表が力でねじ伏せる試合を見られたら、それも爽快じゃないかな。 

写真=BBM
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