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現役ドラフトで阪神移籍の大竹耕太郎 「先発ローテで大化け」の可能性も

 

ファームでは格の違い


現役ドラフトで阪神に移籍した大竹


 新天地で大化けを誓う左腕がいる。ソフトバンクから阪神に現役ドラフトで移籍した大竹耕太郎だ。

 ソフトバンクでは、一軍で登板機会に恵まれなかった。今季は2試合登板のみ。そのチャンスを生かせず、0勝2敗、防御率6.43と不本意な成績に終わった。だが、ファームでは格の違いを見せている。2020年はウエスタン・リーグで最多勝、最優秀防御率、最高勝率のタイトルを獲得。「他球団に移籍すれば、先発ローテーションに入れる」と球界関係者の評価は高かった。阪神は青柳晃洋西勇輝伊藤将司西純矢才木浩人秋山拓巳と先発のコマが豊富なため、競争を勝ち抜くのは容易ではない。だが、過去に試練を乗り越えた大竹なら、今回の移籍で素質を開花させる可能性は十分にある。

 アマチュア時代は天国と地獄を味わった。熊本県内有数の進学校・済々黌高ではエースで2年夏、3年春と甲子園出場。早大に進学すると、1年春からリーグ戦で起用され、1年秋、2年春とそれぞれ4勝を挙げる。「2年後のドラフトの目玉」と注目されていたが、投球フォームを崩すと故障にも見舞われて3年以降は下降線に。ベンチ入りできない時期もあって評価が急落したが、ソフトバンクに育成ドラフト4位で入団した。

久保コーチとの出会いで


 新人の18年春季キャンプ。B組(二軍)スタートで、久保康生二軍投手コーチとの運命的な出会いが転機になる。久保コーチに「体を開いて投げろ」と言われ、半信半疑で実践すると驚いた。大竹は週刊ベースボールのインタビューでこう語っている。

「投げてみたら、とても効率よく楽に投げられたんです。球も強いし。それで映像を見たら、まったく体は開いていない。体を開かないようにしようと意識し過ぎたせいで、結果的に開かないと投げられないフォームになっていたんです」

 ウエスタン・リーグで8勝0敗、防御率1.87の好成績をマークすると、7月29日に支配下登録される。8月1日の西武戦(メットライフ)で一軍デビューを飾り、8回2失点の好投で育成出身の新人初となる初先発初勝利を飾った。その後も好投を続け、9月6日のロッテ戦(ZOZOマリン)で7回1失点に抑えて2勝目を挙げる。

1年目の好投を解説者も評価


 この試合を解説した野球評論家の川口和久氏は週刊ベースボールのコラムで、「(相手先発の)涌井(秀章)と比べ、どっちがベテランか分からないくらい落ち着いて老練なピッチングだった。しかも抑えても打たれても平然としているのがいい。野球はガッツポーズをしたらアドバンテージがもらえるスポーツじゃないからね。結局、7回1失点だったけど、風をうまく使い、ロッテ打線を翻ろうした」と評価した上で、こう指摘している。

「大竹の課題はとにかく球が遅いこと。あの試合も140キロ出てなかったからね。もちろん、頭にコンピュータが内蔵されているみたいなタイプで、遅い球を速く見せる技術もある。オーソドックスな大きなフォームから長身を生かしてしっかり角度をつけていた。あの試合に関していえば、完全に自分のラインのイメージができ、風を利用してカーブ、チェンジアップといった緩い変化球もうまく使っていた。今シーズンはもう終盤だから、問題は来季以降かな。いまは、球は遅いけど、左腕と情報の少なさで抑えている部分はある。相手が自分のデータを調べ上げたうえで、どれだけ勝負できるかじゃないかな。そのためにも、オフは、いま持っている自分の良さを消さずに、あと5キロ、球速は上げてほしい。それができたら、とんでもない投手に化けるかもしれないよ」

 翌19年も開幕から先発ローテーション入り。5勝をマークして大きな可能性を抱かせたが、20年以降は一軍に定着できず輝きを放てていない。ソフトバンクから阪神に移籍し、絶対的な守護神として活躍したロベルト・スアレスのケースもある。大竹が覚醒すれば、阪神は18年ぶりのリーグ優勝がグっと近づく。

写真=BBM
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