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ヤクルトリーグ3連覇のキーマンは山田哲人 「衰えた」の声払拭できるか

 

好調を長く維持できず


今季は打撃成績が上がらず、不完全燃焼に終わった山田


 リーグ連覇を飾ったヤクルト。その原動力は強力打線だ。四番の村上宗隆は球界を代表する主砲に進化した。今季は日本選手シーズン最多の56本塁打を樹立し、22歳の史上最年少で三冠王を獲得。打率.318、56本塁打、134打点と圧巻の数字を残した。

 村上がクローズアップされるが、脇を固める選手たちも頼もしい。リードオフマンの塩見泰隆山崎晃大朗がチャンスメークし、村上の後続には強打者のオスナサンタナが控える。正捕手・中村悠平の勝負強さ、遊撃の定位置をつかんだ長岡秀樹のパンチ力ある打撃も相手バッテリーにとっては厄介だろう。リーグ3連覇を目指す来年は、他球団の包囲網がさらに厳しくなる。その中でキーマンになるのが、不完全燃焼に終わった主将の山田哲人だ。

 プロ12年目の今季は好調を長く持続できなかった。規定打席に到達した2014年以降でワーストの打率.243。23本塁打、65打点も満足いく結果ではない。甘い球を打ち損じて首をかしげる姿が目立った。

 140三振はリーグワースト。後ろを打つ村上が活躍していただけに、重圧もあっただろう。リーグ優勝を飾った際に涙を流していた姿が印象的だった。オリックスと対戦した日本シリーズでも3戦目に先制の左越え3ランを放つなど2安打をマークしたが、他の試合は無安打と快音が聞かれなかった。

強烈だった過去の活躍


 野球評論家の廣岡達朗氏は週刊ベースボールのコラムで、「ヤクルトが日本一連覇を逃した一番の要因は山田哲人にある。第3戦で先制3ランこそ放ったが今シリーズの通算打率.083。彼の調子が良ければそう簡単に負けるはずがない。昔の山田は非凡なセンスでトリプルスリーを3回も取ったほどの男。だが、当時と比べると今は打撃が全然違う。シャープさがない。全盛時には体の軸で鋭く回転していたのが、タイミングが遅れるため早く動こうとする結果、形が崩れている」と指摘していた。

 山田に求める水準が高いのは、過去の活躍が強烈だったからだろう。高卒4年目の14年に打率.324、29本塁打、89打点で最多安打(193本)のタイトルを獲得すると、15、16年に史上初の2年連続トリプルスリーを達成。18年に打率.315、34本塁打、89打点、33盗塁で自身3度目のトリプルスリー達成と異次元の領域を突っ走っていた。

今後の打撃スタイルは?


 打って、走って、守って。天才的な野球センスでダイヤモンドを疾走していたが、近年は陰りが見られる。20年以降は3年連続で打率2割8分をクリアできず、盗塁数も8、4、10と激減。「体にキレがなく衰えが見られる」という声が聞かれるが、まだ30歳。打撃では試行錯誤したが、二塁の守備では好守でチームを再三救ってきた。今後も村上と共にチームを引っ張ってもらわなければ困る選手だ。

 来季に期する思いは強い。今オフの契約更改では、自身4度目のトリプルスリー達成を目標に掲げた。

「高い目標を持って頑張りたいです」

 過去にトリプルスリーを達成した選手を見ると、盗塁数は落ちるが本塁打数が増えるパワーヒッターにシフトするケースが多い。山田の場合はどうだろうか。パワー、技術を兼ね備えた選手だが、スピードが生命線でこだわりを口にしてきた。攻走守三拍子そろったプレースタイルで復活するか、それとも強打者として新たな道を切り拓くか。来季は今後の野球人生を占う大事な1年になりそうだ。

写真=BBM
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