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東京五輪は不完全燃焼も…阪神のエース・青柳晃洋に「侍ジャパン選出」望む声が

 

安定感抜群のピッチング


大崩れしない投球で今季も最多勝、最優秀防御率、最高勝率のタイトルを獲得した青柳


 オリックス山本由伸が2年連続「投手5冠」を達成した今季の活躍は圧巻だった。一方でセ・リーグの投手の主役は、阪神青柳晃洋だろう。13勝4敗、防御率2.05で最多勝、最優秀防御率、最高勝率(.765)と3つのタイトルを獲得。開幕前に新型コロナウイルスに感染して出遅れたにもかかわらず、自己最多の162回1/3を投げてこの成績はまぎれもなく、真のエースと言えるだろう。

 昨季、13勝で最多勝を獲得。今季は相手のマークが厳しくなる中で、白星を重ねたことに価値がある。前半戦は11勝1敗、防御率1.37。4完投2完封と抜群の安定感で投手陣を牽引した。夏場に7試合連続で白星から遠ざかった時期もあったが、今季最終登板となった9月27日のヤクルト戦(神宮)で6回1失点ときっちり抑え、13勝目をゲット。単独で2年連続最多勝に輝いた。

新監督もかける大きな期待


 青柳は今季終了後に週刊ベースボールのインタビューで、「去年よりは技術の部分でレベルアップできた点が多かったです。春季キャンプのときから取り組んできた高めのボールの精度だったり、左打者への内角の真っすぐだったりカットボールだったりを、練習したことが試合の中でそのまま出すことができたんです。また去年とは違う追い込み方だったり、抑え方ができたと思います。つまりバリエーションが増えたと思います」と好成績の要因を分析した。

 さらに「家族も一緒に(新型コロナに)かかったので、家族がすごくショックを受けていたんです。オフから家族には『開幕で投げたい』と言っていたので……罪悪感があったと思うんです。だからシーズンが終わったときに『あのときはみんなでかかったね』と笑って言えるような成績を残さないといけない、という強い思いでマウンドに上がっていました。この感染によって1年間成績がよくなかったら、家族が余計に責任を感じるだろうし、そこは絶対に勝っていこうと思っていました」と特別な思いを明かしている。

 来季から就任する岡田彰布監督の期待も当然大きい。週刊ベースボールのコラムで同監督は「投手陣は青柳(青柳晃洋)や。今シーズン、投手3冠に輝いたが、これほど頼れる投手はいない。勝ち数、勝率。特に貯金を生み出せる投手として、まさにエースと呼べる。先発の軸として投げてくれるに違いないし、タイトルは自然についてくると、オレは考えているのよね」と全幅の信頼を綴っている。

“世界”を相手にリベンジを


 青柳には、国際舞台での活躍を望む声も聞かれる。昨年の東京五輪で侍ジャパンに選出されたが2試合の救援登板でいずれも失点。金メダルを獲得したが、個人的には悔しい結果に終わった。だが、その評価が下がることはないだろう。来年3月にWBCが開催される。

 スポーツ紙記者は「剛速球を武器にする投手が多い中、緩急と制球力を駆使して打者を翻弄する青柳の投球スタイルは相手の目先を変える意味でも面白い。人格者としても知られています。東京五輪で個人としては悔しい結果に終わったが、明るいキャラクターで盛り上げるなど侍ジャパンを支えてくれた。WBCに選出されたら、頼りになる存在になるでしょう」と語る。

 青柳の強みは修正能力だ。プロ入団後も、課題を一つひとつクリアしてステップアップしてきた。WBCでメジャーを代表する強打者たちを翻弄する姿が見られるか。

写真=BBM
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