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野球センス抜群の巨人・山崎伊織に「第2の桑田真澄」の声が 今年は大ブレークなるか

 

近未来のエースの期待


2年目の昨季は5勝をマークした山崎


 巨人の投手陣がグッと若返った。昨季は大勢が1年目で守護神に定着し、37セーブを挙げる大活躍。チームは4位に沈んだが、チーム内のMVPで異論はないだろう。戸郷翔征も自己最多の12勝をマーク。今年3月に開催されるWBCでも侍ジャパン入りが決まり、エースの階段を順調に駆け上がっている。

 そして、戸郷と共に「近未来のエース」として期待が大きい右腕が、プロ3年目の山崎伊織だ。東海大4年時に右肘のトミー・ジョン手術を受けた影響で、プロ1年目は登板機会がなし。リハビリから復帰した昨季はプロデビュー登板で、3月26日の開幕2戦目・中日戦(東京ドーム)に抜擢された。右肘の状態を考慮して登板間隔を空け、球数も制限された中でシーズンを駆け抜けた。20試合登板で5勝5敗、防御率3.14。合格点をつけられる内容と言えるだろう。

 スポーツ紙デスクは、「山崎は桑田真澄ファーム総監督の現役時代と重なるんですよね。野球センスが抜群でフィールディング能力、牽制の技術が高い。左打席の打撃もミートが巧みで野手顔負けです。本職の投球は2種類の変化幅が違うスライダー、シュートにカーブを覚えたことで安定感が増した。クイックもうまいし、万能なタイプ。今年は2ケタ勝利を十分に狙えると思います」と語る。

プロ1年目はリハビリ期間


 トミー・ジョン手術を受けた投手をドラフト2位で獲得することは大きなリスクだったが、巨人が決断したのは山崎の投球に明るい未来を感じたからだろう。ただ、プロ1年目のリハビリ期間は大きな試練だった。

 山崎は週刊ベースボールのインタビューで、「手術を受けてからはとにかく『投げられるようになりたい』という一心でリハビリに取り組むことができたんですけど、いざ投げられるようになったときのほうが難しかったですね。投げたら痛みが出るというのは(堀田)賢慎から聞いていたので覚悟はしていたんですけど、投げ始めてみたら全然思うようにいかなくて。どうしても昔の自分と比べてしまう。全然思ったようなボールが投げられない。『なんでだろう』と思う日々が本当にしんどかったです」と振り返っている。

大きな支えとなった存在


 大きな支えになったのが、同じ手術を経験した堀田賢慎、桑田真澄ファーム総監督(当時一軍投手チーフコーチ補佐)の存在だった。

「賢慎は1人で黙々と取り組むことができるピッチャーなので、『賢慎がやっているから自分もやろう』というのはリハビリ期間中もずっと思っていました。桑田さんも月に何回かジャイアンツ球場に来ていただいて、いろいろな話をしていただきました。何回も言われたのが『焦るなよ』ということ。リハビリをしているときは必死で自分でも気づかなかったのですが、今振り返ると焦る気持ちはすごくあったと思います。そこで声を掛けていただくことで楽になる部分もありました。オフシーズンも細かく投げるプランを組んでいただいたので、すごくありがたかったですね」

 山崎は今年の目標として、一軍に定着して活躍することで桑田ファーム総監督に会わないことが、恩返しになると誓っている。年明けの自主トレは、背番号「19」、東海大の先輩で尊敬する菅野智之に弟子入りする。球界のエースとして長年活躍してきた右腕から得られるものは多い。勝負の3年目で大ブレークなるか。

写真=BBM
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