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プロ野球記録ノート

佐々木主浩超えを果たしたモイネロ リリーバーで奪三振率14超えは過去9人【プロ野球記録ノート】

 

奪三振マシンの助っ人左腕


来日後、高い奪三振率を誇るモイネロ


 昨年はロッテ佐々木朗希が4月10日の完全試合時に1試合19奪三振のプロ野球タイ記録を樹立し、シーズンでは129回1/3を投げ173奪三振。奪三振率は12.04で、規定投球回には届かなかったが10試合以上に先発した投手としてはトップの数字だった。

 この12.04を上回っているのがリリーフ投手だ。3年ぶりに最多セーブのタイトルを獲得した楽天松井裕樹は51回2/3を投げ83奪三振で奪三振率14.46をマーク。これを上回ったのがソフトバンクのモイネロ。52回2/3で87奪三振、奪三振率14.87を記録。これは歴代でも10イニング以上投げた投手のトップの記録となる。

 10イニング以上で奪三振率14.00(1イニング換算は1.56)を超えたのは、

  投手     奪三率 回  三振 S 年度
1位 モイネロ (ソ) 14.87 52.2  87  24 2022
2位 佐々木主浩(横) 14.85 60   99  38 1997
3位 佐々木主浩(横) 14.50 49.2  80  25 1996
4位 松井裕樹 (楽) 14.46 51.2  83  32 2022
5位 モイネロ (ソ) 14.44 48   77  1 2020
6位 サファテ (ソ) 14.20 64.2 102  41 2015
7位 藤川球児 (神) 14.12 51   80  41 2011
8位 ファルケン(ソ) 14.03 50.2  79  19 2011
9位 増井浩俊 (日) 14.01 52.2  82  27 2017
※S=セーブ、ファルケン=ファルケンボーグ

 とわずか9人しかいない。

 最初は「ハマの大魔神」こと横浜の佐々木主浩で1996年の14.50。翌97年には14.85と前年を上回った。翌年はリーグ優勝、日本一となるが、このときは12.54だった。その後14.00超えは出現しなかったが、2011年の阪神・藤川球児、ソフトバンク・ファルケンボーグの2人が佐々木以来14年ぶりの14超えを果たした。

 モイネロは2020年も14.44をマークして2度目の14.00超え。このときはクローザーではなくセットアッパーとして38ホールドを記録している。モイネロは通算(6年)でも272回2/3を投げ385奪三振、奪三振率12.71を誇る奪三振マシンだ。

四死球が多くても


松井も四死球が多いが、失点にはつながっていない


 松井裕は初の14超えだったが、過去の最高は初めて最多セーブを獲得した2019年の13.82。13超えは2度目となる。ただし、この2人は四死球が多いことも特徴だ。9人の四死球率(1試合当たりの四死球数)、被打率、防御率を見てみると、

 投手      四死率 被打率 防御率 年度
 モイネロ (ソ) 3.76  .123  1.03  2022
 佐々木主浩(横) 2.70  .125  0.90  1997
 佐々木主浩(横) 3.08  .206  2.90  1996
 松井裕樹 (楽) 3.31  .122  1.92  2022
 モイネロ (ソ) 5.06  .164  1.69  2020
 サファテ (ソ) 2.09  .124  1.11  2015
 藤川球児 (神) 2.47  .140  1.24  2011
 ファルケン(ソ) 3.20  .157  1.42  2011
 増井浩俊 (日) 1.88  .235  2.39  2017

 となる。四死球も出すが被打率も低く失点にはあまりつながっていない。2020年のモイネロの四死球率は5.06とダントツの多さ。この年は打者193人と対戦したが、奪三振77、四死球27と対戦した打者の半分以上が三振か四死球だった。

 2017年の増井浩俊は奪三振率14.01で四死球率1.88と好成績だったが、被打率.235と打ち込まれ防御率は2.39と2点台だった。

 奪三振率12.00以上、四死球率2.00、被打率2割未満の投手は、

 投手     奪三率 四死率 被打率 防御率 年度
 ファルケン(ソ) 12.05 1.16  .181  1.02 2010
 サファテ (ソ) 13.91 1.50  .154  1.09 2017

 の2人。

 ファルケンボーグは3勝39ホールドで最優秀中継ぎのタイトルを獲得し、サファテはプロ野球記録となる54セーブをマークした年だ。ソフトバンクは奪三振率が高い外国人投手をリリーバーに据え成功を収めている。

文=永山智浩 写真=BBM
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