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プロ野球はみだし録

プロ野球“名将言行録”。「ファンの皆様、本当に……おめでとうございます!」と言った監督は?【プロ野球はみだし録】

 

野村監督の前後にも


2001年、リーグ優勝を成し遂げ優勝インタビューを受けた若松監督


『名将言行録』とは、簡単にいえば戦国武将らの名言を集めた古書。時は流れ、プロ野球の監督も実績を残せば“名将”になぞらえられる。そんな“名将”たちは、どんな“言行録”を残しているだろうか。

 名言において、東西の横綱は巨人長嶋茂雄監督、ヤクルトほかの野村克也監督だろうか。長嶋監督は“迷言”も加えれば1冊の本ができそうなほど。野村監督もヤクルト時代の「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」など、名言の宝庫だ。ちなみに、これは心形刀流剣術の達人だった松浦静山の言葉を引用したものだという。こうした博学を感じさせるものから、ちょっとコメディタッチのものまで、その語録は多彩だった。

 一方、ヤクルト監督の後輩となる若松勉監督も、数は多くないものの、人柄がにじむ名言を放っている。選手としてもヤクルトひと筋、2022年シーズン終了時点で日本人の選手としてはトップとなる通算打率.31918を残したヒットメーカーで、野村監督の後を受けて就任したのが1999年。1年目から2年連続で4位に終わったが、3年目の2001年、リーグ優勝を決める。そのときのインタビューでの発言が、「ファンの皆様、本当に……おめでとうございます!」というもの。ヤクルトは日本シリーズで近鉄を破り、日本一にも。胴上げで選手たちに高々と上げられて上空でクルリ。選手として当時でも異例の小柄だった“名将”は、「あれで腰が痛くなったよ」と笑っている。

 野村監督の言葉は、ほかの監督が簡単に継承できる類のものではないものの、若松監督の「おめでとうございます!」は実にシンプル。2015年にヤクルトをリーグ優勝に導いた真中満監督は、同じく優勝インタビューで、この言葉を再現してみせている。ちなみに真中監督は若松監督と同様、プロ野球選手としては小柄で、また01年のV戦士でもあった。

 一方で、野村監督の前にヤクルトを率いていた関根潤三監督も、三振に倒れた池山隆寛に「下を向いて帰ってくるな。堂々とした感じで帰ってこい」と言ったという。これも“ブンブン丸”の異名を取る長距離砲を育んだ名言といえるだろう。

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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