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巨人はドラフト巧者?「FA補強に頼らなくても強くなる」と期待の声が

 

戸郷は世代のトップに


昨年12勝をマークした戸郷はドラフト6位だった


 巨人は変革期を迎えている。昨年は守護神に抜擢されたドラフト1位右腕・大勢が37セーブの大活躍。ドラフト3位の赤星優志は先発、救援で計31試合登板し、2年目だった山崎伊織も先発ローテーションで頭角を現した。菅野智之の後を継ぐエースに最も近い戸郷翔征も自己最多の12勝をマーク。大阪桐蔭高で黄金時代を築いた根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)と同世代の右腕はドラフト6位と入団当初は無名の存在だったが、今や世代のトップに駆け上がっている。

 かつては豊富な資金力で、FAなどオフに大型補強を敢行してきた巨人だが、近年のチーム作りを見るとドラフト巧者ぶりが垣間見える。他球団のスカウトはこう評する。

「アマチュア時代の実績にとらわれず、プロでの伸びしろを考えて指名している印象があります。大勢は好素材ですが大学時代に故障で投げられない時期が長かった。隅田知一郎(西武)の『外れ1位』で指名したときは正直驚きました。山崎伊織も大学4年でトミー・ジョン手術を受けているためプロ1年目はリハビリに費やさなければいけない。2位で指名するのは勇気のある決断ですが、順調に伸びている。他にも堀田賢慎井上温大菊地大稀などスケールの大きい若手が多い。野手も増田陸中山礼都秋広優人と将来の主力になれる選手たちが控えている。FA補強に頼らなくても、強くなるチーム作りをしていますよ」

数年先を見据えたドラフト


自主トレで軽快な動きを見せるドラフト1位・浅野


 昨秋のドラフトも、数年先を見据えた指名となった。ドラフト1位は高校通算68本塁打のスラッガー・浅野翔吾(高松商高)。阪神と競合したが、原辰徳監督が当たりクジを引き当てた。長打力だけでなく、俊足巧打で外野守備にも定評がある。一挙手一投足に注目が集まるが、浅野は地に足がついている。

 週刊ベースボールのインタビューで、「見ている人は『ホームランを打ってほしい』とか『長打が見たい』と思うかもしれませんが、ジャイアンツにはほかにもホームランを打てるすごい選手がたくさんいる。自分がホームランを打たなくても、その選手にチャンスで回す、塁を埋めて回す。一番や二番を打つことができるようになったら、四番の岡本和真選手にランナー二塁で回す、ということを目標にしながら、状況に応じたバッティングをしていきたいと思っています。その中で、場合によってはホームランも打てて、ヒットも打てる、オールラウンドな選手になっていきたいです」と語っている。近未来の巨人を背負って立つ存在になることは、間違いない。

育成と勝利を追い求める


 3位の189センチ右腕・田中千晴(国学院大)も即戦力というより、2、3年先に大化けすることが期待される投手だ。2年秋に右肘の故障を発症し、3年はリハビリに費やした。4年春に復帰すると最速153キロの直球に落差の鋭いフォークで評価が上昇。まだ線が細く、制球面を磨かなければいけないが、セットアッパーで大輪の花を咲かせる可能性を秘めている。

 支配下の選手だけではない。育成1位の松井颯(明星大)も、上位指名の投手たちに実力は見劣りしない。150キロ前後の直球にカーブ、スライダー、シンカーをまじえる投球スタイルで制球がまとまっている。完成度が高い投手で、2月の春季キャンプから実戦で結果を残し続ければ早期の支配下昇格は十分にあり得る。

 昨年は2年連続V逸で4位と5年ぶりのBクラスに沈んだが、我慢強く起用してきた若手たちが貴重な経験を積んだ。育成と勝利の両方を追い求め、常勝軍団の構築を目指す。

写真=BBM
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