週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

柳田悠岐、森友哉、坂本勇人…「侍ジャパン辞退」でシーズンに懸ける選手たち

 

 侍ジャパンが3月に開催されるWBCで覇権奪回を狙う。大谷翔平(エンゼルス)、ダルビッシュ有(パドレス)、鈴木誠也(カブス)らメジャー組に加え、山本由伸(オリックス)、村上宗隆(ヤクルト)、佐々木朗希(ロッテ)ら球界屈指の選手たちが集まった陣容は、「侍ジャパン史上最強」と形容される。だが、招集をかけた選手全員が集まったわけではない。日の丸へ強いを抱きながらも、自身の置かれた立場を考えて侍ジャパンの出場辞退を決断した選手も。柳田悠岐森友哉坂本勇人……彼らは特別な思いで新たなシーズンに臨む。

精彩を欠いた昨季からの復活を


ソフトバンク・柳田悠岐


・柳田悠岐(ソフトバンク)
昨季成績117試合出場、打率.275、24本塁打、79打点、2盗塁
通算成績1255試合出場、打率.315、238本塁打、770打点、158盗塁

 豪快なフルスイングが魅力のギータ。2度の首位打者に輝くなど、長打力とミート能力を兼ね備えた強打者だが、昨季はスランプからなかなか脱出できなかった。5月31日の巨人戦(東京ドーム)で日本プロ野球ワーストタイ記録の1試合5三振を喫するなど、交流戦は打率.226、0本塁打、6打点とブレーキに。長打は二塁打の1本のみと精彩を欠いた。

 7月に月間打率.342、3本塁打、11打点と本来の状態を取り戻し、夏場に爆発するかに見えたが、好調な時期が長く続かない。チームもリーグ制覇に王手をかけながら2連敗を喫し、オリックスが最終戦で逆転優勝。昨年から就任した藤本博史監督に指名されて主将としてチームを引っ張り、責任を強く感じたのだろう。侍ジャパンでも主力として活躍してきたが、出場辞退してシーズンに向けての調整に専念することを決めた。チームはオフに大型補強を敢行したが、柳田の活躍なくして覇権奪回は叶わない。打率3割、30本塁打はノルマだ。

新天地で力を発揮するために


オリックス・森友哉


・森友哉(オリックス)
昨季成績102試合出場、打率.251、8本塁打、38打点、2盗塁
通算成績926試合出場、打率.289、102本塁打、449打点、25盗塁

「強打の捕手」として、その実力は抜きん出ている。2019年に打率.329、23本塁打、105打点をマーク。西武のリーグ連覇の原動力となりMVPを獲得し、捕手で史上4人目の首位打者に輝いた。課題だった守備面も成長が著しい。ブロッキング技術、盗塁阻止の送球で精度を高め、打者の裏をかく配球術もさえてきた。昨季の西武のチーム防御率2.75はリーグトップ。投手の力はもちろんだが、縁の下の力持ちとして支えた森の働きぶりは見逃せない。

 今オフにFA権を行使し、オリックスが獲得を熱望したのは打力だけでなく、「捕手・森」を高く評価したからだ。昨季は自慢の打撃で状態が上がらなかったため、新天地で期する思いは強い。リーグ3連覇を目指すチームは主軸を担っていた吉田正尚がポスティングシステムでレッドソックスに移籍。球界を代表する強打者の穴は簡単に埋まるものではないが、森は攻守両面で大きな期待がかかる。自身の技術を高めるだけでなく、投手陣と積極的にコミュニケーションを取り、特徴を把握しなければいけない。侍ジャパンへの思いを断ち切り、オリックスを勝利に導くために全身全霊をかける。

悔しさを胸に見据えるV奪回


巨人・坂本勇人


・坂本勇人(巨人)
昨季成績83試合出場、打率.286、5本塁打、33打点、2盗塁
通算成績1985試合出場、打率.291、266本塁打、944打点、160盗塁

 坂本は巨人だけでなく、侍ジャパンの中心選手だった。2013、17年とWBCに2度出場。21年の東京五輪では初戦のドミニカ共和国戦でサヨナラ打を放つなど、4試合連続打点と打線を牽引し、金メダル獲得に大きく貢献した。攻守で高い技術に加え、勝負強さとリーダーシップは際立っている。20年に右打者で最年少の31歳10カ月で通算2000安打を達成したのも通過点だ。史上2人目の通算3000安打も現実的な目標に思われたが、昨季は試練に見舞われた。度重なる故障で83試合出場にとどまり、打率.286、5本塁打、33打点。高卒2年目の08年以来続いていた規定打席到達が14年連続で止まった。

 万全のコンディションを取り戻せなかった影響か、長打力が落ちるなど陰りが見えた。チームも4位と5年ぶりのBクラスに低迷。遊撃でのプレーにこだわりを見せる坂本は真価が問われる年になる。悩み抜いた末、侍ジャパンの出場辞退を選択したのは、シーズンに向けての準備に集中したかったからに尽きる。悔しさを糧に、V奪回を目指す。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング