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全日本大学野球連盟監督会の新会長に慶大・堀井哲也監督が就任 就任4年目でのトップ着任は超異例

 

大学球界では「新参者」という意識


全日本大学野球連盟監督会は2023年、1期2年の役員改選の年。慶大・堀井哲也監督が監督会の新会長に就任した[左から川村副会長、堀井会長、鈴木副会長、谷口副会長。写真=BBM]


 全日本大学野球連盟監督会の新会長に1月18日、慶大・堀井哲也監督(60歳)が全会一致で承認された。従来は大学球界におけるベテラン指揮官が務めるケースが多かっただけに、就任4年目でのトップ着任は超異例と言える。しかし、堀井監督には年数だけではない、誰もが認める実績と存在感があった。

 2019年から4年間、2期(1期2年)にわたって同会長を務めた中央学院大・菅原悦郎監督は「優しさがあり、どんなことも受け入れてくれる器の大きい方」と、全幅の信頼感により、後任を託した背景がある。

「菅原前会長はコロナ禍で大変だったと思います。アドバイスをいただきながら、自分のできることをやりたい。大学野球では若輩者で微力ですが、他の役員と協力していきたい」(堀井監督)

 水面下で会長職の打診を受けたのは昨年11月。堀井監督は当初、丁重に固辞したという。三菱自動車岡崎で2001年の都市対抗準優勝、JR東日本で11年の都市対抗優勝に、3度(07、12、13年)の同準優勝。JR東日本では10年から19年まで10年連続都市対抗出場と、社会人野球での実績は申し分ない。

 堀井監督が母校・慶大の監督に就任したのは19年12月。21年に東京六大学リーグで春秋連覇、全日本大学選手権では34年ぶりの日本一へ導いた。明治神宮大会では決勝へ進出したが、菅原監督が率いる中央学院大が初優勝。東京六大学野球連盟の加盟校として、初の年間タイトル4冠(春、秋のリーグ戦。全日本大学選手権、明治神宮大会)を目前で逃した。

 1997年から中央学院大を指揮する菅原監督と、慶大・堀井監督は同級生。堀井監督が19年11月まで15年、監督を務めたJR東日本(千葉県柏市)と中央学院大(千葉県我孫子市)の活動拠点は至近距離。当時から交流があり、大学の監督同士となって以降も毎シーズン、オープン戦を重ね、高め合ってきた。明治神宮大会決勝後もお互い、本塁ベース付近で健闘を称え合っていたのが印象的である。

 堀井監督は就任2年目で日本一の頂へと上り詰めたが、自らを「若輩者」と語ったように、大学球界では「新参者」という意識が強かった。だが、同級生からの就任要請である。「誰かが、やらないといけない」。堀井監督は大学当局、野球部からの了承を得た上で、監督会会長の座に就く決断を下したのである。

『同志』としての戦いに


監督会会長は中央学院大・菅原監督[右]から慶大・堀井監督[左]につながれた。写真は2021年11月の明治神宮大会決勝後[写真=矢野寿明]


 1月18日に行われた監督会は、20年1月以来の対面形式で行われた。21、22年はオンライン上での開催だっただけに、約140人が出席したこの日は監督同士が3年ぶりに再会したほか、従来の名刺交換するシーンがあちこちで展開されていた。堀井会長は言った。

「野球界は他のスポーツに類を見ないほど、つながりがある。監督会は年1回ですが、貴重な機会。1回会えば、知っている上での戦い(試合)になる。『同志』としての戦いになれば、大きく違ってくる。脈々と続いてきた大学野球を、さらに発展させていけるように微力ながら尽くしたい」

 新型コロナウイルスはいまだ、収束のメドが立たず、マスク着用をはじめ、緊張感ある日々が続いている。しかし、世の中は感染予防対策に講じながら、徐々に会合が戻ってきている。やはり、オンライン上では人間関係を築くことは難しい。相手の顔を、覚えることもできない。人と人は会ってこそ、初めて心が通じる。今回、あらためて認識する場となった。

文=岡本朋祐
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