フォーム修正に好感触

　鳥取出身の広島・森翔平が正月に帰って来たとき、1時間くらい話をする機会があった。

　力強いフォームから力強いストレートを投げる前年入団の左腕で、同郷のひいき目ではなく、カープ期待の星の一人だ。

　昨年はリリーフからスタートしたあと、一度ファーム落ちし、一軍復帰後は先発で初勝利を挙げた。ただ、ファーム落ちした際、このままでは一軍定着は難しいと感じ、シーズンが終わってから足の上げ方を柔らかくし、フェニックス・リーグで手ごたえをつかんだと話していた。

　あとは秋季キャンプで覚えたというフォーク。これで投球の幅がぐっと広がった。新井貴浩監督も先発候補として期待しているらしいね。

　昨年の森を見ていて、新人だから仕方がない面もあるが、少し受け身になっていたときがあった。要は丁寧に行き過ぎると言うのかな。

　だから、このときも「ピッチャーは攻めも必要だよ」という話をした。相手が四番の強打者であっても、いや、ならばこそ、コースを狙いすぎたり、変化球でかわす逃げのピッチングは通用しない。
もちろん、痛い目を見ることもあるが、ストレート主体の攻めのピッチングをしたほうがうまくいく可能性は高いという話だ。

　実際、森下暢仁がそうだよね。もちろん、各球種すべてが素晴らしいが、かわいい顔をして、あれだけ内角を攻めるから勝てる。

　首脳陣が嫌うのも逃げのピッチングだ。コースを狙い、最後はカウント稼ぎの甘い球をやられたり、歩かせて次のバッターにドンとかね。特に、これからという若手がそれをしていると、伸びしろが感じられず、「仕方ない。もう一度ファームだな」になる。

　技術面では右打者アウトコースの出し入れの重要さも話した。左投手がこれができると5勝は違ってくるからね。

　でも、話していて大学、社会人と経由している分、理解度が高い。かなりピッチングについて研究しているなとも思った。

　ただ、いくら潜在能力が高いと言っても、プロだからほかもそういう選手がたくさんいる。カープはまた、即戦力新人投手を獲ったしね。

　この横並びから抜け出すためにも、「まずキャンプでしっかりアピールしなきゃダメだよ」と言ったら「頑張ります」と力強く言ってくれた。

　森君、鳥取のカープファンみんなが君に期待しているよ。