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侍ジャパンで選出漏れも…「首位打者獲れる」と現場の評価高い天才打者は

 

新生カープのキーマン


今年はシーズン通しての活躍を見せたい西川


 WBCで覇権奪回を狙う侍ジャパンで、昨年11月の強化試合で選ばれたメンバーと大幅に入れ替わったのが外野陣だ。強化試合では周東佑京近藤健介(ソフトバンク)、近本光司佐藤輝明(ともに阪神)、塩見泰隆(ヤクルト)、西川龍馬(広島)の6人が選出されたが、WBC本大会では近本、佐藤、塩見、西川が落選。鈴木誠也(カブス)、吉田正尚(レッソドックス)、ラース・ヌートバー(カージナルス)の3人が新たにメンバーに名を連ねた。

 スポーツ紙デスクは、「西川は国際試合向けの選手だと思うんですけどね。ミート能力が高く、難しい球も簡単にヒットゾーンへ飛ばす。打てるゾーンが広いので、NPBと違う国際試合のストライクゾーンに戸惑うこともない。広島で同僚だった鈴木誠也も天才と認めていましたが、野球センスがズバ抜けています。日の丸を背負ってWBC出場は叶いませんでしたが、シーズンに向けて十分に調整できる時間がある。新井貴浩新監督が就任した広島のキーマンになるでしょう」と予言する。

ケガの多さがネック


 大谷翔平(エンゼルス)、鈴木と同世代の28歳。高卒社会人経由でプロ入りした22歳のシーズンで、62試合出場ながら打率.294をマークしたところから非凡な打撃を垣間見せていた。内野を守っていたが、打撃に集中させたい首脳陣の意向もあり、19年に外野手に転向。同年に初の規定打席に到達して打率.297、16本塁打、64打点と好成績を残す。他球団の首脳陣の評価も高く、「首位打者を獲得するのは時間の問題」とささやかれていた。だが、その能力をフルに発揮しているとは言えない。

 ネックになっているのが、故障の多さだ。プロ7年間で規定打席に到達したシーズンが2度は少ない。昨年は開幕から一番打者で打線を牽引していたが、6月上旬の交流戦中に下半身のコンディション不良で戦線離脱。一軍復帰に2カ月かかり、西川不在のチームは優勝争いから脱落。4年連続Bクラスとなる5位に低迷した。西川も97試合出場にとどまり、打率.315、10本塁打、53打点。不完全燃焼に終わった。故障は不可抗力の部分があるので責められないが、無事之名馬ということわざがあるように、技術だけでなく体が強いことも一流選手の証だ。西川本人が一番悔しい思いをしているだろう。

広島残留を決意


 昨オフは去就が注目された。故障者特例が加算され、8月下旬に国内FA権を取得。権利を行使すれば複数球団の争奪戦は必至だったが、10月22日に広島残留を表明。球団の公式ホームページを通じ、コメントを発表した。

「決断した時期は最近で、決め手は新井さんです。直接(監督と)話をしたかったんですけど、新井さんも忙しいので、電話で話をする中でそういう決断に至りました。一緒に頑張ろうと言っていただいて、(残留を)決めたときもすぐ電話をしました。そのときもほっとしたと言ってもらえたので、しっかり頑張ろうと思います。今シーズンケガでなかなか思うようにいかなかったので、来年はケガなく1年間しっかりプレーしたいなと思います」

 球団史上初の16〜18年の黄金時代を経験した野手のレギュラーが減ってきている。年齢を考えると、脂がのり切った西川がチームを引っ張らなければいけない。新井監督の胴上げという目標に向け、規定打席に到達は最低条件だ。1年間フル稼働すれば、初の打撃タイトルとなる首位打者獲得の可能性は十分にある。天才打者がたくましさを身につけ、グラウンドで輝き続けられるか。

写真=BBM
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