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川口和久WEBコラム

ジャイアンツのスタッフミーティングの重苦しい雰囲気が、いつもちょっと憂鬱だった/川口和久WEBコラム

 

本音は監督とコーチでいいんじゃないかでした



 ジャイアンツのスタッフミーティングが1月20日にあった。

 俺も巨人のコーチ時代、2011年から4年間やっているが、就任初年度は、新年早々、球団職員から連絡があり、「書面をつくって、それを発表してください」と言われ、「え、書面?」と先制パンチを食らった気分だった。

 監督は最初にあいさつするが、あとは聞き役で、コーチが次々、1年間の方向性を発表していくのだが、発表自体は仕事だから別にいい。書面をつくったりは少し面倒だが、まあ、仕方ない。

 ただ、目の前には監督や、ほかのコーチだけじゃなく、球団関係者、フロントのお偉いさんがずらり……。すごく重たい雰囲気が漂っている。政治家の政策発表会みたいだな、といつも思っていた。

 今年は原辰徳監督が「ジャイアンツの歴史の中でもワーストに近い年。あんな年はあってはいけない」と昨年について厳しい表情で語ったらしい。いつもに増して、空気が重かったんじゃないかな。

 投手を担当する俺の場合なら、先発、中継ぎ、抑えは誰で、一、二軍をどう入れ替えていくかみたいな話から入る。

 そこから1年間を序盤戦、交流戦、球宴まで、とか幾つかに分け、起用法を変えながら、疲労をためさせず、ケガのない起用法をしていきたいと話してたら、みんなふんふんとうなずき、納得した顔をしてくれたことを思い出す。

 講演とかそんなに何度もしてるわけじゃないけど、みんなシーンとしていると、話しているこっちもプレッシャーになる。笑顔を見せてくれたり、うんうんとうなずいたりしてくれると、こっちもほっとして話が弾んでくるんだ。

 今年はデーブ(大久保博元コーチ)が「得点圏打率3割」、「バント成功率8割」、「ボール球スイング率2割以下」を掲げた。さすがデーブ、分かりやすい公約を出してきた。彼は話がうまいから、盛り上がったかもしれないね。

 ただ、結局は理想論。実際に始まったら、何が起こるか分からないし、そこから先がコーチの腕の見せどころだったりする。投手起用には監督の判断もあるしね。

 今だから言ってしまうが、俺は正直、なんのためにやるんだろう、といつも思っていた。チームの明かせない戦略もあるし、こういうのは監督とコーチだけでいいじゃないかって。

 原監督が読んだら怒られちゃうかな。
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