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プロ野球記録ノート

昨年は松本剛が首位打者、岡林勇希が最多安打…最下位チームのタイトルホルダーは?【プロ野球記録ノート】

 

バレンティンの60本塁打時も


昨年、高卒3年目で最多安打に輝いた岡林


 昨シーズン最下位だった日本ハム中日。ともに新監督で5位のチームを引き受けて浮上することはできなかった。そんな中、日本ハムの松本剛は打率.347で首位打者を獲得し、中日のR.マルティネスは39セーブで最多セーブ、3年目の岡林勇希が161安打で最多安打を獲得し、チームは低迷しながら奮闘した。

 パ・リーグで最下位チームから首位打者を輩出したのは2020年のオリックス吉田正尚以来2年ぶり10人目。セ・リーグの最下位チームからの最多安打はヤクルト山田哲人以来8年ぶり4人目(表彰対象の1994年から)。打者の場合は勝敗には直接関係がないので、タイトルホルダー比較的出やすい傾向にはある。

 主なタイトルでは、

 首位打者 セ 4人 パ10人
 本塁打王 セ10人 パ 3人
 打 点 王 セ 3人 パ 3人
 最多安打 セ 4人 パ 2人
 盗 塁 王 セ 5人 パ 9人

 2013年に本塁打の日本記録60本を樹立したヤクルトのバレンティンだが、チームは57勝83敗4分け、勝率.407の最下位。5位のDeNAからも5.5ゲーム差を離されていた。バレンティンが本塁打を打った試合は24勝24敗と勝率5割だったが、それ以外は勝率.359と低調だった。2008年の横浜の内川聖一は右打者最高打率.378をマークして首位打者を獲得したものの、チームは48勝94敗2分け、勝率.338で5位のヤクルトから19ゲームも離されていた。またチーム勝率よりも高い打率で首位打者を獲得したのも2リーグ制では唯一。

 このように、打者はチームの勝敗とは関係なくタイトルを獲得できることが多い。

投手は少ない最下位チームのタイトルホルダー


 一方、投手だが特に最多勝、最多セーブ(最優秀救援の時期もあり)はチームが勝たなければ付かない記録だけに、最下位チームのタイトルホルダーは少ない。

 投手部門で比較的勝敗に関係ないのが最多奪三振(セ=1991年から、パ=1988年から)。それでもセは該当者はおらず、パは以下の7度。

 1988年 小川博 (ロ)204
 1996年 工藤公康(ダ)178
 2008年 杉内俊哉(ソ)213
 2014年 則本昂大(楽)204
 2015年 則本昂大(楽)215
 2018年 則本昂大(楽)187
 2020年 山本由伸(オ)149

 楽天の則本昂大が3度、チームは最下位ながら最多奪三振を獲得している。

 続いて防御率だがこちらもセは該当者はなく、パは5度。

 1989年 村田兆治(ロ)2.50 7勝9敗
 1997年 小宮山悟(ロ)2.49 11勝9敗
 2002年 金田政彦(オ)2.50 4勝9敗
 2018年 岸孝之 (楽)2.72 11勝4敗
 2019年 山本由伸(オ)1.95 8勝6敗

 5人中、3人は勝ち越しており、2人は2ケタ勝利をマークしていた。

小川が貯金12を稼いでも


 最多勝はセが6人。

 1974年 金城基泰(広)20勝15敗
 1984年 遠藤一彦(洋)17勝17敗
 1997年 山本昌 (中)18勝7敗
 2005年 黒田博樹(広)15勝12敗
 2007年 グライシンガー(ヤ)16勝8敗
 2013年 小川泰弘(ヤ)16勝4敗

 パは2人。

 1962年 久保征弘(近)28勝21敗
 1998年 黒木知宏(ロ)13勝9敗

 1984年の遠藤一彦は17勝17敗で勝率5割だったが、他はいずれも勝ち越していて、最下位チームの中で孤軍奮闘だったと言える。特にルーキーイヤーだった2013年の小川泰弘は16勝4敗、貯金12だったにもかかわらずチームは借金26。バレンティンが60本塁打の新記録を達成した年でもある。

 最後は最多セーブ(1974年制定)。セは1976年から、パは1977年から2004年まで「セーブ+救援勝利」のセーブポイントでタイトルを決めていた。1980年、南海の金城基泰が6勝13セーブの19セーブポイントでタイトルを獲得。チームは48勝77敗11分け、勝率.384で唯一の3割台で最下位だった(前期5位、後期6位)。金城は広島時代の1974年にチーム最下位の最多勝も獲得している。

 そして昨年、中日のR.マルティネスが、優勝したヤクルトのマクガフを1セーブ上回り39セーブで初タイトルを獲得した。最多セーブとしては史上初の最下位チームからのタイトルホルダーとなった。

文=永山智浩 写真=BBM
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