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「現場ファースト」のセンバツ選考委員会 一定の成果を収めた「明確化」「透明化」

 

「センバツ改革検討委員会」が発足


2023年のセンバツ高校野球は3月18日、阪神甲子園球場で開幕。1月27日の選抜選考委員会で出場36校が決まった


 第95回記念選抜高校野球大会の選考委員会が1月27日、大阪市内で行われ、出場36校が決まった。

 コロナ禍で2021、22年はオンライン開催だったため、3年ぶりに対面で行われた(報道陣は選考委員会の公開部分、記者会見とともにオンライン対応)。やはり、実際に顔を合わせて議論するのと、リモート上ではまったく違う。

 相手の目を見て、しっかりとコミュニケーションが取れ、活発な意見が交わされたようだ。

 2023年は「改革元年」だった。

 昨年1月28日の選考委員会では、東海地区の選出をめぐって「逆転現象」が起きた。出場枠は2。例年は前年秋の東海大会の優勝、準優勝校が選出されるが、昨年は優勝校と準決勝敗退校が選ばれたのである。各方面から選考基準の「明確化」と「透明化」を求める声が高まった。日本高野連はこうした流れを受けて、日本高野連から6人、大会主催者から5人、アドバイザー3人による「センバツ改革検討委員会」を発足。昨年4月から7月にかけて計6回の委員会が開催された。

 7月12日の第94回センバツの第4回運営委員会にて、大会要綱を策定した上で大会理念を明示、選考ガイドラインの作成、選考委員による統一文書による意見表明を地区別小委員会で共有、選考委員会当日の議事進行についての見直しが示された。

 議事進行の進め方で、大きく変わったのは、より「厳密」になったことだ。選考委員会地区別小委員会での流れを明文化し、選考委員、および主催者で共有することが徹底された。

 1月27日、午前の選考委員会総会における冒頭の挨拶で、日本高野連・寶馨会長(選考委員長)は改めて選考ガイドラインの基本原則を説明。出席した選考委員47人に対して、丁寧に伝えていたのが印象的だった。何を訴えたいのかと言えば、トーナメントを勝ち上がった各地区の代表校が出場する夏の「選手権大会」とは、まったく異なる大会ということだ。

「センバツは招待大会であり、都道府県高野連が校風、品位をも勘案して候補校を推薦し、選考委員会が厳正、公正に出場校を選出する。本大会の特色は、予選を持たない。秋季大会の試合結果は、あくまでも参考資料の一つである。大会理念(野球を通じてフェアプレーの精神、友情、連帯はぐくむことが目的)を実現させるため、勝敗のみにとらわれず、出場にふさわしい学校を選出する」

想定外の「サプライズ選出」はなく


 一般選考枠の選出にあたっては、5つの地区別に分かれた小委員会で出場校を選出し、本委員会に報告し、承認を受ける。この「承認」のステップが、厳格化された。午後の選考委員会総会における選考結果は、昨年までは地区別小委員会の委員長や副委員長が発表していたが、今年は選考委員長と選考副委員長2人が担当した。

 今年は記念大会のため、例年よりも4校増の36校が出場。一般選考枠33校は、実力重視で選考され、今年に関しては、想定外の「サプライズ選出」はなかった。選考ガイドラインには「複数の学校の評価が並んだ場合、地域性も考慮する」とあったが、今回は該当するものはなかったという。昨年のような「波乱」はなく、概ね「平穏」に終わった。選考委員会後、記者会見における当落線上にあった学校の選出理由も、客観的な説明がされた。

 センバツ選考委員会の「明確化」と「透明化」。例年以上に慎重に議事が進行され、一定の成果を収めたように思える。あくまでも、主役は高校球児。全国各地で春の吉報を待っている「現場ファースト」のセンバツ選考委員会が、今後も推し進められる。

文=岡本朋祐 写真=代表撮影
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