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侍ジャパンの選出経験なしも…他球団が「抑えるのが最も難しい」強打者は

 

穴のない打者


昨季、最多安打を獲得した佐野


 昨季は2位と前年度の最下位から躍進したDeNA。25年ぶりのリーグ優勝が現実的な目標となった今季、打線の中核として期待されるのが佐野恵太だ。

 他球団のスコアラーは、「穴がない打者です。特に内角のさばき方が天才的。スイングスピードが速く、ミート能力も高いので緩急に崩されない。甘く入ったら一発もあるし、セ・リーグで抑えるのが最も難しい打者の1人だと思います。今年も間違いなくコンスタントに打つでしょう」と警戒を強める。

 ドラフト9位で入団した7年前は無名の存在だったが、今や球界を代表する中距離打者に変貌した。その才能を見出したのがアレックス・ラミレス前監督だった。四番で主将だった筒香嘉智(現レンジャーズ傘下所属)が2019年オフにメジャー挑戦ですると、佐野を後継者に指名。「四番・左翼」で主将を引き継いだ20年に打率.328、20本塁打、69打点で首位打者を獲得と見事に期待に応える。この1年で終わらず、成績を残し続けているのが一流の所以だ。昨季は打率.306、22本塁打、72打点と3年連続打率3割をマークし、161安打で自身初となる最多安打のタイトルを獲得した。

 チームも快進撃でセ・リーグを盛り上げた。6月下旬に借金が最大9までふくらんだが、ここから巻き返す。7月に10勝7敗2分と上昇気流に乗ると、8月は18勝6敗と大きく勝ち越し。本拠地・横浜スタジアムで17連勝の球団新記録を達成し、最大17.5ゲームあった首位ヤクルトに4ゲーム差まで接近した。シーズン終盤は力尽きたが、その戦いぶりはファンを熱狂の渦に巻き込んだ。

 佐野は週刊ベースボールのインタビューで快進撃の要因について、こう振り返っている。

「とにかく先発、リリーフすべての投手が素晴らしい投球をしてくれていることが最大の要因だと思います。今は投手の方々が作ってくれた流れに、僕たち打線が乗っていけています。それにより、しっかりと投打がかみ合った戦いができているなと感じますね。接戦でも最少失点で切り抜けてくれたり、もし仮に点を取られてしまっても同点までで食い止めてくれたりと、とにかく粘り強く投げてくれています。守っていても心強いです。今までなら、どんどん点差が離されてしまうような試合展開でもズルズルいってしまうことがないんです。僅差で試合を進めることができるから、野手もワンチャンスで追いつける、ひっくり返せるという気持ちを持ち続けることができています。これは野手陣全員が感じていることだと思います」

パフォーマンスでも人気


 左翼と一塁を守り、チーム事情により一、二、三番で起用されたがどの役割を与えられてもきっちり結果を残す。首脳陣からすればこれほど頼もしい選手はいない。侍ジャパンに選出された経験がないのが不思議に感じるぐらいだ。

 DeNAの選手たちが本塁打を放ったときなどに行うパフォーマンス「デスターシャ」もすっかり、野球ファンの間で定着した。YouTubeチャンネル「サワヤンゲームズ」のサワ・ヤン兄弟による挨拶「サワヤンゲームズですたーっ。しゃっ!」を拝借したもので、佐野と牧秀悟がベンチ前でホームランパフォーマンスとして始め、チーム内でブームとなった。

「ご本人たちも球場に足を運んでくださり、試合結果を見てのツイートや、チャンネル内でもベイスターズの話をしてくださっています。野球だけではないつながりが、また別のところでDeNAを知っていただくきっかけになり、結果としてチームの勢いにつながっています。もともと僕は一視聴者として『サワヤンゲームズ『さんを見ていただけだったので、一ファンとしてはこういったご縁があってうれしい限りですね。『デスターシャ』も、今はチームが盛り上がるピースに変化してきているので続けようと思っています」

 今年のスローガンは「横浜頂戦」。主将4年目を迎えた佐野が先頭に立ち、チームを引っ張る。

写真=BBM
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