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センバツ“注目スラッガー”広陵・真鍋慧 「浅野翔吾以上のスイングスピード」先輩・内海優太が見たすごさ

 

高校生離れした飛距離


広陵高・真鍋は高校通算49本塁打。今春のセンバツ甲子園で注目のスラッガーである[写真=佐々木萌]


 第95回記念選抜高校野球大会の選考委員会が1月27日、大阪市内で行われ、出場36校が決まった。

 昨秋の中国大会優勝、明治神宮大会準優勝の広陵高は2年連続26回目の出場。高校通算49本塁打を誇る真鍋慧(3年)は、NPBスカウトが注目する左のスラッガーだ。

 広陵高・中井哲之監督は部員に親しみを込めてニックネームをつけることがよくあるが、真鍋を「ボンズ」と呼ぶ。MLB歴代1位の762本塁打を放ったバリー・ボンズ(元ジャイアンツほか)が由来だ。中井監督は言う。

「バットを振る力と、遠くへ飛ばすことは規格外で、高校生離れしている。金本(金本知憲、元広島ほか)、佐野(佐野恵太、現DeNA)も教えていますが、ボンズのほうが上です」

 指揮官だけでなく、チームメートも真鍋の破壊力を絶賛。昨年の侍ジャパンU-18代表で四番を務めた、1学年上の内海優太である。広陵高では昨夏まで三番・内海、四番・真鍋のクリーンアップで名門校をけん引した。

真鍋の1学年先輩で、高校日本代表で四番を務めた内海[明大進学]は、後輩の打撃センスを高く評価している[写真=BBM]


 内海は1月29日、明大野球部の「島岡寮」に入寮。後輩たちのセンバツ出場を喜んだ。

「自分たちは昨年、2回戦で敗退しているので、借りを返して、日本一になってほしい」

 広陵高は春夏連続甲子園出場を目指した昨夏、英数学館高との県大会3回戦敗退。「夏を勝ち上がるのは難しい。そこで(野球人生が)終わりではない。教訓となった試合です」。内海のほか3年生は夏以降、次のステージへの準備を進めるのと並行して、後輩たちの練習を親身になって手伝った。これは、広陵高の伝統である。秋に後輩が成果を残してくれたのは、自分のことのようにうれしかったという。

 内海は特に主将・小林隼翔(新3年)に対して、打撃指導をした。「甲子園でも、打ってくれると思います」と期待を寄せ、注目選手の一人に挙げてくれた。内海と同じ左打者である、真鍋にもアドバイスを送ったかを聞いた。

「教えることはありません(苦笑)」

 内海は即答した。それは、なぜか。

「スイングスピードが人と違う。仮に相手バッテリーに崩されても、カバーできるだけの振る力がある。真鍋はすごいと思います」

ライバルは「いません」


 さらに、日の丸を背負った同級生と比較する。

「浅野(翔吾、高松商高−巨人ドラフト1位)よりも、真鍋のほうがスイングスピードはあるかもしれません。でも、浅野は経験豊富であり、いろいろな状況に対応できる力がある」

 真鍋は昨年11月の明治神宮大会でも、豪快なアーチを2本放った。春2度のセンバツ優勝経験のある中井監督と、高校通算34本塁打の元高校日本代表四番・内海が認める潜在能力。甲子園での一発が期待されるが、真鍋は「私情は持ち込まないようにしている。2年連続決勝(明治神宮大会)で負けた大阪桐蔭に勝ち、日本一を取って、中井先生を胴上げしたいです」と、チームファーストの姿勢を貫く。

 ライバルを聞いても「いません」と、あくまでも自らと向き合い、レベルアップに努める日々。「自分の感情は、出さないようにしています。チームが勝つことが最優先です」。左打席では、相手投手が投じるボールに集中する。結果はあとからついてくるもの。真鍋は雪が降る広島で、黙々とバットを振っている。

文=岡本朋祐
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