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巨人時代と別人? メジャーからロッテ復帰の澤村拓一に、「セーブ王の有力候補」の期待が

 

2020年シーズン途中でロッテへ


2020年、ロッテ在籍時の澤村


 長髪を後ろに束ね、鋭い眼光を向ける。前レッドソックスの澤村拓一が、3年ぶりにロッテに戻ってきた。

 1月28日に行われた入団会見。ロッテの球団公式YouTubeチャンネルでその様子が公開された。澤村は「日本一熱いファンの前で投げられることに非常に興奮しております」とコメント。ロッテに復帰した経緯について質問が及ぶと、「僕がアメリカに行く際に快く送り出してくれた千葉ロッテというチームに対しての義理を守るということもそうですし、吉井監督が監督に就任されたというのも、自分の中ではとても大きかったように思います」と熱い思いを語った。

 紆余曲折を経て、今がある。巨人では先発、救援で実績を残していたが、2020年に13試合登板で防御率6.08とふるわず、ファームに降格。さらに、制球難から三軍降格も味わった。復活のきっかけは新天地への移籍だった。9月7日に香月一也との交換トレードでロッテ移籍すると、150キロを超える直球、高速スプリットで三振の山を築き、22試合登板で0勝2敗1セーブ13ホールド、防御率1.71とセットアッパーで光り輝く。

 澤村が新人のときに一軍投手コーチを務めた野球評論家の川口和久氏は週刊ベースボールのコラムで、「高速スプリットはえげつないし、フォームも悪いときは体が打者側に向かっていかず、三塁側に倒れ、球がシュート回転するが、それが修正できていた。というか、あれはホントに澤村か。双子の兄貴じゃないのか。いや、それは冗談だが、孫と一緒に見ているテレビのヒーローみたいに、明らかに変身していた」と絶賛。

 さらに「巨人時代後半の澤村は、とにかくストレートばかり。あとは曲がらないスライダー、打者に見切られるフォークも時々投げていたが、最後はやっぱりクビを振ってもストレートで、それを相手のバッターも分かっていた。それでも真っすぐに威力があれば抑えられたが、少しでも球威が落ちたら、粘られて四球か、ムキになって投げ込む甘い球を打たれる。はっきり言えば、やられ方がワンパターンだった。それが今は真っすぐは球速、キレもあるし、高速スプリットも威力がある。ほされていた時期、二軍で秘密特訓でもしていたのかな。考えてみると、パのバッターは多少のボール球でもどんどん振ってくるから、澤村向きなのかもしれないね」と分析していた。

チーム浮上のカギを握る存在


 同年オフにFA移籍したレッドソックスでは2年間で通算104試合登板し、6勝2敗13ホールド、防御率3.39。アメリカで培った経験は必ず日本球界復帰後に生かされるだろう。FAで送り出してくれたロッテに戻ってきたのも、義理堅い澤村らしい決断と言える。

 ロッテは益田直也が長年守護神を務めていたが、昨季は安定感を欠いてファーム降格を経験した。澤村が守護神で起用される可能性は十分にある。

 スポーツ紙デスクは「ロッテの生命線は救援陣です。きっちり稼働できれば優勝争いに食い込める。益田は通算182セーブと実績十分ですが、澤村も巨人で最多セーブを獲得した実績がありますからね。メジャーで経験を積んで、投球の幅も広がっている。抑えに起用されれば、セーブ王の有力候補になるでしょう。ギラギラした澤村の情熱と向上心がチームに最も必要な要素かもしれない」と期待を込める。

 20、21年と2年連続2位の好成績だったが、昨季は5位に沈んだロッテ。吉井理人監督が就任して新たなスタートを切り、2023年チームスローガンが「今日をチャンスに変える。」に決定したことを発表した。巻き返しを狙う中、澤村がカギを握る存在であることは間違いない。

写真=BBM
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