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今夏甲子園からベンチ入りメンバーが2人増の20人 「高校球児ファースト」のスタンス

 

指揮官の悩みが解消


今夏の甲子園大会から、登録選手数が2人増の20人に変更される[写真=田中慎一郎]


 高校野球の監督の悩みが一つ、解消されたはずだ。

 今夏の甲子園大会から、ベンチ入りメンバーが2人増の20人になる。2月1日、第105回全国高校野球選手権記念大会の第1回運営委員会における審議で承認された。

 日本高野連によれば、2019年に全国都道府県高野連との意見交換で、各連盟から「増員」の声が出ていたという。20年の様子を踏まえた上で方向性を定める方針だったが、新型コロナウイルスの影響により、甲子園をかけた地方大会と全国大会が79年ぶりの中止。甲子園大会を運営する上で、財政的にも打撃を受けたことから、審議は先送りにされていた。21年以降、財政面が徐々に改善したことにより、今回の導入への動きになったという。

 夏の甲子園出場をかけた、ほとんどの地方大会は、ベンチ入り20人で開催されている。加盟校が各地区大会を勝ち上がり、代表権を勝ち取るのは最大の喜びだが、現場は直後に、難しい決断に迫られる。甲子園大会へ向けては、2人を削らないといけないからだ。

 甲子園の土を踏めるか、踏めないか。選手、家族、関係者からしてみれば、切実な問題である。決断をしなければいけない指導者は、胸が引き裂かれる思いになる。地方大会を20人で戦い、ようやく夢舞台へとたどり着いた。甲子園においても一緒に戦いたいのは、当然の考えである。

 実際に複数の指揮官からも、2人の選手を外さなければいけない「悩み」について聞いたことがある。日本高野連の説明によれば、1週間で500球以内の球数制限により、従来よりも複数投手を含めて、交代メンバーをベンチ入りさせる必要がある、と。また、昨今は選手の健康管理、障害予防、暑さ対策で、ベンチに控えるメンバーが、出場選手へケアしなければいけない役割が増えているという。

 こうした事情を踏まえて、2人増となった。「高校球児ファースト」のスタンスは、現場として、これほどありがたいことはない。これで甲子園メンバー選出による、ストレスは軽減されるはず。また、高校卒業後の大学進学にあたり「甲子園」の競技実績は重要項目とされるケースが多く、選択の幅が広がる。指導者はより、大会本番へ向けたコンディションづくりに集中できる。大英断だった。

文=岡本朋祐
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