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中日が損したトレードではない? 中日・涌井秀章に「史上初のセパ最多勝」の期待が

 

中日先発陣の厚みを増す存在


キャンプでじっくりと調整を進める涌井


 最下位からの巻き返しを狙う中日。一軍キャンプではトレードで加入した涌井秀章砂田毅樹、新外国人のオルランド・カリステアリスティデス・アキーノソイロ・アルモンテ、ルーキーの山浅龍之介村松開人田中幹也福永裕基と計9人の新戦力が、ハツラツとした動きを見せている。

 この中で投手陣のキーマンとして、注目されるのが涌井だ。西武ロッテ楽天とNPB史上唯一の3球団での最多勝利を獲得し、通算154勝をマークしている右腕だが、昨オフに阿部寿樹とのトレードが発表された際は「楽天が得をしたトレード」、「貧打のチーム事情でなぜ阿部を放出するのか」など中日ファンから疑問の声が上がった。

 中日は昨季リーグワーストの414得点。阿部は133試合出場で打率.270、9本塁打、57打点をマークし、クリーンアップを務めていただけに、放出の決断は衝撃が大きかった。ただ、このトレードが決して不可解なわけではない。中日は大野雄大柳裕也小笠原慎之介高橋宏斗松葉貴大と先発陣がそろっているが、6番手以降が固まらなかった。高橋宏も成長段階のため、登板間隔を空けなければいけない。ディフェンス重視の野球を標榜する上で、長いイニングを投げられる投手は喉から手が出るほど欲しい。豊富な練習量で若手のお手本にもなる涌井は、このピースにピタリとハマる。

バンテリンドームに合う投球スタイル



 野球評論家の川口和久氏は昨年11月に週刊ベースボールのコラムで、涌井獲得のメリットをこう綴っている。

「中日ファンも賛否両論。というより、今季の打線で唯一、勝負強さを感じさせた阿部を出して大丈夫か、という声が多い。交換要員の涌井が36歳という年齢に加え、今季4勝ということもあるだろうね。ただ、俺は涌井獲得は、はまる気がしている。彼は西武に入団し、ロッテ、楽天と渡り歩き、中日が4球団目だ。真っすぐでぐいぐい押すタイプではなく、低めへの制球力と打者のタイミングを外すピッチングが真骨頂。広いバンテリンドームは合っていると思う。中日には同じく制球力で勝負する右腕で、横浜高の後輩・柳裕也もいる。情報交換もしやすいだろう。(昨季の)4勝にしてもヒジ、肩の故障ではなく、右手中指の骨折だから、逆に体を休めた1年とも言える。パからセの移籍も刺激になると思うし、打者の涌井に対する情報量も少ない。俺はそこそこ勝つんじゃないかと思っている」

タイトル争いのダークホース


 4勝止まりに終わった昨年も投球内容は決して悪いわけではなかった。5月4日の日本ハム戦(札幌ドーム)で114球を投げ切り、5安打1失点で2年ぶりの完投勝利。3連勝でさらに白星を積み重ねると思われたが、次回登板となった同月18日のロッテ戦(ZOZOマリン)で、4回に中村奨吾の打球が右手中指を直撃。骨折と診断され、ボルト3本を入れる固定手術を受けた。3カ月以上の長期離脱はチームにとっても大きな痛手だった。

 スポーツ紙記者は「直球はまだまだ球威十分で、長いイニングを投げられるスタミナも健在です。4球団目は初のセ・リーグですが十分に通用するでしょう。打線との兼ね合いもありますが、セパ史上初の最多勝も決して可能性がゼロではない。タイトル争いのダークホースになりえる」と分析する。

 涌井が活躍すれば、中日も自ずと順位が上がる。36歳右腕は新天地で救世主になれるか。

写真=BBM
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