週刊ベースボールONLINE

大学野球リポート

宮城誇南、越井颯一郎、森山陽一朗、岡西佑弥 4年後の「プロ志望」を口にする逸材が早大練習に合流

 

大きな可能性秘めた個性


早大スポーツ科学部のアスリート選抜入試で合格した4選手が練習に合流した[左から岡西、森山、宮城、越井]


 神宮での活躍が期待される新戦力4人が加入した。早大のアスリート選抜入試で合格した4選手が2月4日、全体練習に合流し、安部球場(東京都西東京市)で汗を流した。緊張感の中にも、これから始まる大学生活へ、夢と希望をふくらませているのが印象的だった。

 充実の大学4年間を過ごし、それぞれが卒業後の「プロ志望」を口にする。4選手には、大きな可能性を秘めた個性がある。

 まずは、投手3人。浦和学院高の144キロ左腕・宮城誇南は「投球術」が生命線だ。昨春のセンバツでは4強進出に貢献。「パワーピッチャーではないので、キレとコントロール。技術的なところで相手を上回る」と、打者との間合い、クレバーなスタイルを追求する。

 浦和学院高、早大の先輩であるロッテのサウスポー・小島和哉を尊敬しており「まだ、そのレベルにはいっていない。少しでも追いつけるようにしたい」と心技体の向上に努める。

 木更津総合高の146キロ右腕・越井颯一郎は「リズム」を意識している。昨春のセンバツでは2回戦進出。「真っすぐでカウント、空振りを取れる。そこにもう一つ、テンポも持ち味です。野手が守りやすいピッチングをしたい」と背筋を伸ばして言う。

 2020年秋の早慶戦の記憶が鮮明だ。木更津総合高、早大の先輩である楽天早川隆久が胴上げ投手になった背番号10を見て「早稲田で野球がしたい」と熱望した。リーグ優勝を決めた慶大2回戦、早川は1対2の8回裏途中から救援。主将でもあった4年生エースはこのイニングを抑え9回表、当時2年生の蛭間拓哉(現西武)の逆転2ランにつなげた。「最後の土壇場で出てきて、流れを持ってきた。自分もそういう存在になりたいです」と、先輩の背中を追いかけるように、早稲田の門をたたいた。

 広陵高の145キロ右腕・森山陽一朗は「勝てる投手」を目指す。広陵高、早大の先輩であるソフトバンク有原航平を尊敬しており「1年春から神宮で投げ、3、4年時は大学日本代表でプレーし、プロ野球選手になりたい」と抱負を語る。3年春のセンバツでは2回戦進出に貢献も、夏は県大会3回戦敗退。コンディション不良により、登板はなく「責任を感じている。悔しさをバネにして大学で頑張りたい」と、屈辱を糧にする。広陵高で同級生の主砲・内海優太が明大へ進学。リーグ戦での直接対決を待望しており「インコースの真っすぐで抑えたい」と目を輝かせている。

目を細める小宮山監督


 智弁和歌山高の左のスラッガー・岡西佑弥は「リーダーシップ」が売りだ。「早稲田と言えば岡西、と言ってもらえるような選手になりたい。結果、練習での姿勢から示していきたい。自分が軸として1年春から試合に出場することが目標です」と、高校3年間、名門校で鍛えられてきただけに、自覚と覚悟がある。

「伝統のある東京六大学。天皇杯と日本一を目指せる大学として、早稲田を志望しました」

 すでに、東京六大学の歴史も勉強済み。経験豊富でもある。智弁和歌山高では2年夏の甲子園で五番・一塁手として全国制覇を経験。2年秋の新チーム以降は主将として、強豪校をけん引。3年夏の甲子園開会式では深紅の大優勝旗を返還。国学院栃木高との初戦(2回戦)で敗退も、最後まで戦う背中を見せた。早大では三塁に挑戦。立大には高校の先輩である主将・西川晋太郎、エース右腕・池田陽佑がおり「対戦したいです」と意欲満々だ。

 早大・小宮山悟監督は投手3人について「4年間で相当なレベルになってくる。上級生になったときに、相当なスタッフになる」と実力に太鼓判を押す。野手の岡西については「(智弁和歌山の)中谷(仁)監督からもキャプテンとして相当な選手、と聞いています。最初からゲームに出るのは難しいかもしれないですが、最上級生になった際には、チームの大黒柱になっていてほしい」と目を細める。

 毎年のことではあるが、新入生が加入すると、グラウンドは一気に活気が増す。1年生の押し上げにより、2年生以上が刺激を受けるからだ。「安部球場=神宮」が早稲田大学野球部のモットー。先輩から後輩へと伝わる「一球入魂」は、常日ごろの練習から徹底されている。リーグ戦のベンチ入り25人をかけた激しいメンバー争いは、いよいよ本格化していく。

文=岡本朋祐 写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング