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西武の2月6日キャンプインに評価の声 「他球団も追随する可能性」が

 

「西武のやり方はメジャー式」


今季から西武を率いる松井監督


 球春到来――日本のプロ野球は2月1日にキャンプインを迎えるのが昔からの恒例となっているが、今年は西武が他の11球団と異なったスタートに。昨季より開幕が1週間遅いのに合わせ、キャンプ初日は6日に。選手たちは4日まで埼玉県所沢市の球団施設などで自主練習に励んだ。

 西武のキャンプは今月23日まで。18日間のキャンプ期間は12球団の中で最も短い。ただ、この独創的なやり方が、「球界のトレンドになる可能性がある」と日米でプレーしたプロ野球OBは評価する。

「メジャーは2月中旬にキャンプインし、1、2週間足らずで終えて3月はオープン戦を重ねて仕上げていく。西武のやり方はメジャー式と言えます。個々のレベルアップなら、キャンプでなくてもできる。守備でフォーメーションプレーの確認も、昔に比べて短期間になった球団が増えている。ペナントレースの結果が、西武の今回の取り組みにリンクするとは言い切れませんが、個人的にはキャンプを1カ月もやる必要はないかなと。若手は首脳陣が技術指導するための時間が必要ですが、実績のある中堅、ベテランは開幕に向けてそれぞれやり方がある。1月に自主トレをやっているし、2月は2週間あれば実戦に入れる。他球団も来年以降に、キャンプインの日を2月1日から遅らせる可能性はあると思います」

繰り広げられる激しい競争


 西武のキャンプ期間は短いが、密度は濃い。日米通算170勝をマークした球団OBの松坂大輔氏が2月11日から4日間、A班の投手陣を指導予定。若い投手たちは技術面、メンタル面で得るものが多いだろう。野手陣も熾烈な競争が繰り広げられそうだ。レギュラーが確定しているのは、一塁の山川穂高、二塁の外崎修汰、遊撃の源田壮亮の3人のみ。3枠すべて埋まっていない外野陣、森友哉がFA移籍して正捕手不在になった捕手陣はレギュラー不在の状況で、若手たちは定位置獲りの大きなチャンスになる。

 松井稼頭央監督が現役時代も、主力がFA流出する事態で、若手が奮闘してチームが生まれ変わった歴史がある。1996年に62勝64敗4分で16年ぶりの負け越し。3位に終わり、オフに不動の四番だった清原和博巨人へFA移籍した。戦力ダウンが危惧されたが、翌97年に松井監督、大友進高木大成ら20代前半だった若武者たちがレギュラーに定着。機動力を武器にチャンスメークした。チーム盗塁数200はリーグ断トツトップ。656得点もリーグ最多で、76勝56敗3分で3年ぶりのリーグ優勝を飾った。

チームのお家芸


 主力流出のピンチをチャンスに変え、若返りを図るのは西武のお家芸とも言える。

 松井監督は昨年12月下旬、週刊ベースボールのインタビューで97年当時を振り返り、「あのときは僕も出始めのころで、何度も守備でミスをしましたけど、本当に投手に助けてもらいました。東尾さん(東尾修監督)はもちろんですけど、投手に育ててもらったと言っても過言ではありません。例えばエラーをして西口さん(西口文也現ファーム監督)に『すみません』と謝って。そのあとアウトに取って僕のミスを帳消しにしてくれましたから。だから、『何とか打たなアカン』『取り返さなアカン』と思って、打席では必死になりましたね。それの繰り返し」と語った。

 さらに、その上で「今も投手が若い野手を、野手が若い投手をカバーしていけば若手が育っていくはず。そこはチームなので、投手、野手関係なく、助け合いながら。そういう関係性であってほしいと思いますね」と伝統の継承に期待を込める。

 18日間のキャンプは熱気に満ちあふれていることは間違いない。画期的な取り組みは、吉と出るか。

写真=BBM
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