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新人王より難しい? 巨人のドラフト4位・門脇誠は「坂本から定位置を奪えるか」

 

打てる遊撃手の筆頭格


今季、ドラフト4位で巨人に入団した門脇


 巨人のドラフト4位・門脇誠(創価大)が首脳陣の評価を高めている。

 遊撃の守備では軽快なフットワークと強肩でアピール。打撃も目を見張るものがある。フルスイングから引っ張った力強い打球を見た大久保博元一軍打撃コーチが「吉田(正尚)みたい」と絶賛。さらに、2月11日の紅白戦では打っては2安打、守っては遊撃守備で好守を連発し、原辰徳監督が「実戦向きの選手が一人加わったという感じがしますね」と褒め称えた。

 創価大では1年春から遊撃のレギュラーで出場し、3年秋には首位打者と打点王を獲得。長打力と広角に安打を打ち分けるコンタクト能力を兼ね備えた強打者だ。身長171センチと体格に恵まれているわけではないが、フォルムと打撃フォームが身長172センチの吉田正尚(レッドソックス)に重なる。フルスイングが持ち味の吉田は高い確率でコンタクトできるため空振りが少ない。門脇にとって、理想形の打者と言えるだろう。

 アマチュア担当の記者は、「門脇は打てる遊撃手の筆頭格です。パンチ力があるし、足が速くて肩も強い。華がある選手ですね。あとはプロの投手の変化球に対応できるか。実戦で結果を残し続ければ、原監督も起用法で迷うのではないでしょうか」と分析する。

 原監督が起用法で迷う――。この言葉の意味することは、遊撃に門脇を使うことで、不動のレギュラーで長年君臨してきた坂本勇人を外す決断を迫られることになる。昨年はたび重なる故障で83試合出場にとどまったが、今年はWBCへの出場を辞退してシーズンにかけている。ケガさえなければ、坂本を遊撃で起用する可能性が高い。

 スポーツ紙記者は「門脇が開幕スタメンを勝ち取るためには、オープン戦で圧倒的な成績を残すしかない。それでもスタメン奪取は難しいが、坂本が思うような結果を残せなかったらどこかで区切りをつけて門脇を起用する可能性が出てくる一軍の試合に出続けられるようになれば、新人王のダークホースになるでしょう」と指摘する。

数少ないチャンスを生かして


2008年、高卒2年目の坂本。この年、遊撃のレギュラーを獲得した


 プロの世界でポジションを奪い取るには、数少ないチャンスを生かすしかない。坂本勇人もかつてはそうだった。高卒2年目の2008年に「八番・二塁」で開幕スタメンを勝ち取ると、その後は正遊撃手だった二岡智宏の故障離脱に伴い、遊撃で試合に続けた。二岡の復帰以降も遊撃の座を明け渡さず、全144試合スタメン出場で打率.257、8本塁打、43打点。チームは阪神と最大13ゲーム差をひっくり返す「メークレジェンド」でリーグ制覇を飾った。

 08年から遊撃の定位置を守り続けている坂本の存在は大きい。一方で、坂本も今年で35歳を迎える。長期的視点でチームの構築を考えたとき、後継者の育成も重要課題だ。昨年は坂本が故障で戦線離脱した際、北村拓己廣岡大志湯浅大などが起用されたが結果を残せず。そこで台頭したのが中山礼都だった。遊撃で42試合にスタメン出場。打率.198、0本塁打、3打点と力不足は否めなかったが、守備では球際に強く安定したプレーを見せていた。

 中山はこの春季キャンプで二軍スタートとなったが、練習中から声を張り上げてハツラツとしたプレーを見せている。門脇の存在は当然刺激になっているだろう。遊撃は坂本が今年も盤石か。それとも、門脇、中山がその牙城を崩すか。目に見える形でアピールを続けるしかない。

写真=BBM
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