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慶大新1年生右腕・広池浩成が元NPB左腕、現球団幹部の父から授かった2つの金言

 

しっかりしている目的意識


慶應義塾高・広池は2月1日から慶大の練習に合流している


 東京六大学、そして、神宮への思いは誰にも負けない。2月1日から慶大の練習に合流している広池浩成(1年)は「高校のときから何度か練習に参加しましたが、厳しいメニューです。きついトレーニングを含めて、楽しい」と、飛び切りの笑顔を見せた。

「大学野球のために、中学から慶應に入ってきた」

 目的意識がしっかりしているのは、なぜか。

「感化されて生きている」と、父・浩司(広池浩司)さんの影響が大きいという。立大の主将として活躍し、大手航空会社に就職するも、野球への思いが再燃。広島のテスト入団、カープアカデミーを経てドラフト指名を受けた苦労人だ。貴重な中継ぎ左腕としてNPB248試合に登板。引退後は西武の打撃投手を務め、現在は同球団のフロント幹部として活躍している。

 広池は幼少時から神宮で観戦し、中学受験では難関の慶應中等部を突破。野球部と陸上部を兼ね、トレーニングに励んだ。慶應義塾高では1年秋にベンチ入り(背番号20)も、2年春、夏は背番号を着けることができなかった。人一倍の努力を重ね、2年秋は10を着け、夏はエース番号1を背負った。

 144キロ右腕・広池には、父からの2つの金言がある。

「次の1球に集中しろ!」

 その意味を「仮に打たれても、投手は次の1球を投げなければならない。そこで引きずっていてはダメ、ということです」と明かす。

 父はもともと投手だったが、故障により、立大では打者に専念。その後、プロで投手に復帰した流れがある。だからこそ、言われる。

「健康に投げられていることがうらやましい」

 その上で、大学入学に際して、こう言われた。

「野球ができる舞台が整えられていることに、感謝しないといけない」

 東京六大学は春、秋の週末、神宮球場でのプレーが約束されている。諸先輩が築き上げてきた歴史であり、恵まれた環境に身を置いていることは、当たり前ではないということだ。

「幹を太く伸ばしていきたい」


 好きな投手は中日涌井秀章

「淡々と投げている。次の1球につなげる投球をしている。自分は真っすぐが、生命線。幹を太く伸ばしていきたいです」

 同級生には昨春のセンバツ優勝を経験した大阪桐蔭高の150キロ右腕・別所孝亮、昨夏の甲子園8強へ導いた144キロ左腕の高松商高・渡辺和大とライバルが多い。

「刺激はありますが、自分はやるべきことをやるだけです。マウンドでも、一人で投げるわけですから。横にいるライバルと、競争をして投げるわけではない。自分を追い込んでいきたい。自分がエースとなり、リーグ戦では1戦目を投げ、日本一の投手になる」

 目的、目標が明確である。広池は迷うことなく、自らが思い描く道を突き進んでいく。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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