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兄2人の背を追って慶大入学の小原大和 目指すは長男が果たせなかったNPB入り

 

兄と同じ軽妙なトーク


花巻東高出身の小原は慶大の全体練習に合流。昨春のセンバツ甲子園に出場している


 高校通算本塁打。大学に合流した野手に対して、お決まりの質問である。慶大・小原大和(1年)は一呼吸置いて、愛嬌たっぷりにこう答えた。

佐々木麟太郎には及ばない、7本塁打です(苦笑)。勝ちたい気持ちありましたが、どんどん引き離されて……」

 花巻東高出身。1学年下で昨年11月までに106本塁打を放っている佐々木と比較し、自虐的に話して、報道陣を笑わせた。1年生の大学初取材。ユーモアにあふれており、兄2人同様、好感が持てる。

 10歳上の長男・大樹投手、7歳上の次男・和樹内野手に続いて、三男・大和も慶大の門をたたいた。

 長男はエンゼルス・大谷翔平と花巻東高で同級生。慶大では2勝を挙げ、日本製紙石巻、MLB挑戦を経て四国IL/徳島でプレーした。次男は盛岡三高から入学した慶大で、3年春から二塁のレギュラー。4年秋には打率.350でベストナインを満票で受賞した。

「花巻東か盛岡三、どちらに進学するか悩みました。『野球に打ち込みたい』と兄2人に相談したところ『それならば、花巻東に行くべきだ』との言葉が決め手になりました。高校では『岩手から日本一』をチーム全員で目指す中で、勉強も頑張ってきました。佐々木(洋)監督の下で、人間的にも成長できる3年間でした」。2年秋の東北大会を制し、明治神宮大会4強。3年春のセンバツに出場した。

 学業にも力を入れ、兄の背中を追うように慶大のAO入試で難関を突破した。

 兄2人からはこう、アドバイスを受けた。

「『気持ちだぞ!』と。2人とも気持ちが強いので、自分もレギュラーを取りたい。気持ち一つで、練習の姿勢も変わってくる」

 右投げ左打ちの二塁手。打撃に自信があり「次男がベストナインを取っているので、自分も取りたい」と目を輝かせた。

 兄2人はテレビ業界で仕事をしており、大学時代から饒舌で、しかも、律儀な性格だった。三男も軽妙なトーク、そして、取材対応後は、話を聞いた6人の記者、一人ひとりに丁寧に深々と一礼している姿が印象的だった。

 花巻は雪に覆われており、慶大の活動拠点である日吉(神奈川県横浜市)での練習に「岩手では室内や、限られたスペースでの練習に限られる。こちらは半袖でできるくらい、最高です。本当にうれしいです」と笑顔を見せた。小原の飛び切りの明るさは間違いなく、チームへプラスに作用することだろう。

 大学卒業後に目指すは、長男が果たせなかったNPB入り。取材を終えた小原は颯爽と、グラウンドへと戻っていった。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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