週刊ベースボールONLINE

大学野球リポート

大阪桐蔭から慶大へ進学の別所孝亮 環境情報学部で研究したいのは「ミラクルの検証」

 

特例で練習に参加


大阪桐蔭高出身の別所は慶大の全体練習に合流。昨春のセンバツ甲子園の優勝メンバーだ


 じっとしていられなかった。相当な意気込みである。

 大阪桐蔭高出身の別所孝亮は1月29日に慶大の合宿所に入寮。リーグ戦のベンチ入り候補選手28人が生活する「第一合宿所」であり、期待の表れと言える。

 2月1日の全体練習合流を前に30、31日は準備期間として時間を使うように、指示を受けていた。しかし、別所は「体を動かしたいです」と30日から特例で練習参加。しかも、2月1日以降は「1日も早く慣れたい。一緒にやらせてください」と、全体メニューに加わりたいとスタッフを通じて要望を出した。例年、1年生は約2週間、別メニューが組まれる。故障を恐れる慶大・堀井哲也監督は、一度は容認しなかったが、再度、別所が直訴してきたため、その気持ちを買う形とした。

 150キロ右腕は3年春のセンバツ優勝に貢献し、経験値は申し分ない。自らアピールしてきただけのことはある。「ランニングでも引っ張っていた。2年生以上もウカウカできないムードになっている」(堀井監督)。さすが、名門・大阪桐蔭高で鍛えられてきた強靭な心身のスタミナは、半端ではなかった。3年夏の引退後も週6日、後輩たちに混ざって体をいじめ抜いてきた成果が出たのである。

「(高校時代からの)下積みがあるので、その延長線上、応用すればいい。良い練習ができました」。別所は涼しい顔で語った。2年冬。大阪桐蔭高・西谷浩一監督との面談で「東京六大学志望」を伝えた。中学時代の学校評定はオール5。高校を通じて文武両道を実践してきており「大学球界の最高峰。勉強も頑張ってきて、両立できる」と慶大を志望した。AO入試で難関を突破。同校野球部からの合格者は福井章吾(2018年から21年まで在籍、4年時は主将、現トヨタ自動車)以来。入試前もアドバイスを受けたという。

「野球と勉強はつながっている。野球は勉強以上に難しい。もっと複雑で、状況判断も求められる。だから、勉強は大切なんです」

 慶大では早くも存在感を示しており「高校で日本一を経験できたので、大学でも日本一を目指したい。4年間を長い目で見て、4年後にプロへ行きたい」と、前を向く。

 環境情報学部で研究したいのは「ミラクルの検証」。春夏連覇を狙った昨夏の甲子園は、下関国際高(山口)との準々決勝で敗退した。先発した別所は5回途中で降板。2番手の当時2年生の左腕・前田悠伍が1点リードの9回表に逆転を許した。7回裏の攻撃では、大阪桐蔭高は三重殺を喫し、流れが相手に傾きかけていた。「あの負けを生かせたらいい」。決して、忘れてはならない試合。別所は現実から逃げ出すことなく、甲子園の屈辱を教訓とし、自身の成長につなげようと考えている。

「1年春から投げたい思いはありますが、段階を踏んでいきたい」

 好きな投手はエンゼルス・大谷翔平。「投打、両方をやっていて、あの投球はすごいです」。183センチ84キロ。グラウンドでもひと際目立つ。考える力がある別所にとって、自主性が根づいている慶大は、最高の環境と言える。

文=岡本朋祐 写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング