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フォーム改造でさらなる進化 巨人・大勢が「侍ジャパンの守護神」に抜擢も

 

左足を上げる新フォーム


キャンプで順調に調整を進めている大勢


 巨人・大勢が新フォームで上々のスタートを切った。

 今季初登板となった2月12日の紅白戦。紅組の4番手で6回から登板すると、左足を上げた際に軸足の右膝を折り曲げるフォームで直球が150キロ台を連発。最速155キロの直球を育成枠の加藤廉に中前へはじき返されたが、WBC球できっちり制球できていた。

 他球団のスコアラーは「肩、肘に掛かる負担が少ない投球フォームを探求して新たなチャレンジをしているのでしょう。この時期に150キロ台を連発するのは、ちょっとレベルが違うなと。直球は球威がまた上がった感じがしますし、フォークもあるので厄介です。大勢の直球は内角にシュート回転で浮き上がるような軌道なので打ちにくい。一般的に直球のシュート回転は良くないとされていますが、大勢の場合は速くて球質が重い。新フォームであの軌道がどう変化するか気になりますね」と分析する。

 関西国際大からドラフト1位で入団した昨年は守護神に抜擢されると、新人では40年ぶりとなる開幕戦でセーブをマーク。走者を背負っても、動じないハートの強さも大きな武器だ。強打者の内角を果敢に突き、雰囲気にのまれることがない。

 今年から阪神の監督に就任した岡田彰布氏は昨年6月に週刊ベースボールのコラムで、大勢の活躍を高く評価していた。

「まあクローザーはホンマにしんどいと思うよね。抑えて当たり前、やられたらチームの勝ちを失うことになるんやから、毎日が勝負よ。相当な心の疲労があると想像できるけど、それをルーキーがこなしているのだから、これも立派のひと言やね。巨人の新人・大勢のことやけど、すでに彼のセーブ数は20を超えた。ここまでチームの勝ちにかかわっているのがルーキーで、それもあまり知られていない大学出身。外れ1位やったけど、彼を推したスカウトの眼力も素晴らしい。チーム事情もからみ、大勢をいきなりクローザーに据えた原(原辰徳)監督の判断も見事やな。独特のフォームからスピードのあるストレートで押す姿は、勢いにあふれているし、その半面、冷静なところも示している。これから先、抑えとして山あり谷ありだろうけど、体も強そうだし、馬力があるから、乗り切れるだろう」

 チームは4位と5年ぶりのBクラスに低迷したが、若き守護神は奮闘した。シーズンを完走して37セーブで史上3人目の新人最多セーブ記録を達成。新人王の投票では209票と、湯浅京己(阪神)の74票に大差をつけてタイトルを獲得した。

侍ジャパンで守護神候補は多いが


 最高のスタートを切ったプロ野球人生だが、さらなる進化に余念はない。昨年はシーズン終盤で痛打を浴びる場面が目立った。疲労がたまっていたことも影響していたのだろう。大学時代の3年秋に右肘の炎症で登板なし、4年春も右肘の疲労骨折で1試合の登板に終わるなど度重なる故障で苦しんだ時期がある。今後の野球人生を見据えた時、体に負担のかからないフォームを模索して直球、フォーク、スライダーを磨くのは当然と言えるだろう。

 3月に開催されるWBCでは、侍ジャパンの守護神を務める投手が注目される。プロ通算197セーブの松井裕樹(楽天)、金メダルを獲得した2021年の東京五輪で守護神を務めた栗林良吏(広島)、昨季大ブレークした湯浅、宇田川優希(オリックス)と能力の高い投手がそろっているが、大勢も有力候補だろう。変則サイドでフォームを改良し、さらにスケールアップしている。メジャーの強打者たちを相手にどんな投球を見せてくれるか。

写真=BBM
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