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佐々木朗希が初の実戦登板で160キロを計測 「WBC準決勝の米国戦」先発の可能性も

 

村上も三振に仕留めた圧巻の投球


初実戦で抜群のピッチングを見せた佐々木朗


 WBC公式球の扱いに苦しむ侍ジャパンの投手が多いが、この右腕は問題なさそうだ。「令和の怪物」ことロッテ佐々木朗希が、2月15日の練習試合・ヤクルト戦(糸満)に今年初の実戦登板。圧巻の投球を見せた。

 初回に先頭打者の丸山和都を145キロの高速フォークで空振り三振。侍ジャパンに選出された二番・中村悠平もスライダーで空振り三振、三番・内山壮真も145キロの高速フォークで三者連続三振と完ぺきな立ち上がりだった。ハイライトは令和の三冠王・村上宗隆との対決だ。この日自己最速タイの160キロ直球で空振り三振。4者連続三振を含む、5奪三振の快投で、2回1安打無失点と調整が順調であることを示した。

「WBC公式球を使いましたが、きっちり制球できていました。出力がまた一段階上がったような雰囲気があります。初の実戦登板で160キロを出しましたが、これからさらに球速が上がっていくでしょう。WBCでは先発で起用の可能性が高いですが、栗山監督がどのようなローテーションを組むか。順当に勝ち進めば、優勝候補のアメリカと準決勝で対戦する。ダルビッシュ有(パドレス)、山本由伸(オリックス)、大谷翔平(エンゼルス)が選択肢として考えられるが、佐々木も抜擢の可能性が十分にある。直球はもちろんですが、あれだけ精度の高いフォークを投げられる投手はメジャーでもなかなかいない。米国打線は強打者ぞろいですが、十分に通用すると思います」(スポーツ紙記者)

変幻自在の高速フォーク


 佐々木はまだ発展途上の投手だ。昨年は4月10日オリックス戦(ZOZOマリン)で28年ぶりの完全試合を達成し、日本記録の13者連続奪三振、プロ野球タイ記録の19奪三振を達成したが、シーズンを通じて中5、6日の登板間隔で先発ローテーションを回る体の強さは備わっていない。20試合登板で9勝4敗、防御率2.02。129回1/3と規定投球回数に届かなかった。

 だが、大きな武器を手に入れたことで投球の幅が広がったことも間違いない。それが変幻自在の高速フォークだ。プロ2年目の2021年は中指、人さし指が縫い目にかからない握りでスプリットのような軌道だったが、昨年は高校時代の握りに戻して縫い目に掛けると、鋭い落差で絶対的なウイニングショットに進化した。リリース位置を前後に変えることで、落ちる幅が大きくなっただけではない。前で離したときはスライド回転、後ろで離す際はシュート回転とフォークがさまざまな軌道に。打者から見れば、攻略が極めて厳しい球となった。

フォークに対する佐々木朗の考え


 高速フォークは、決め球としてだけに使う球種ではない。高めからストライクゾーンに落ちる軌道で、カウントを整えられる。佐々木は昨年に週刊ベースボールのインタビューで、その意図についてこう語っている。

「フォークは落ちるボールなので、低めに落とすと、バッターが見逃せばボール球になる。低めにしか投げないと、バッターが途中で『フォーク』と判断したら振ってこなくなると思うんです。でも、高めから落として、ストライクゾーンに投げることで『フォークでもストライクがある』と意識させれば、仮にフォークと分かったとしても振ってくる可能性が高くなる。だから、『フォーク=振らなければボール球』の考えをなくす使い方をする必要があるなって。本当に質の良いフォークボールなら、ストレートとの見分けがつかなくて、(バットを)振らせることができるかもしれないんですが、僕のフォークは、そこまでかどうかは分からない。分かるのはバッターだけですし、対戦を重ねれば、僕のボールも見慣れてくる。その中で『フォーク=ボール球』と思われないことが大事だなと思ったんです」

 今季初実戦となった村上との対決でも、1ボールで高めからストライクゾーンに落ちるフォークで並行カウントにすると、3球目は低めに落ちるワンバウンドのフォークで空振り奪い2ストライク。4球目の直球で空振り三振に仕留めた。

 一発勝負の短期決戦で、佐々木はどのような投球を見せてくれるか。世界を驚かせる快投を見せても不思議ではない。

写真=BBM
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