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侍ジャパン・山川穂高が下位打線で抜擢も 「本塁打打つ技術はメジャーの強打者と遜色ない」

 

侍ジャパンに返り咲き


世界相手に本塁打量産が期待される山川


 サンマリン宮崎に詰めかけたファンが、ホームランアーチストの共演に酔いしれた。侍ジャパン強化合宿で、2月18日の全体練習終了後、ヤクルト村上宗隆西武山川穂高が特打を行った。セ・パの本塁打王は他の打者と飛距離の次元が違う。村上は79スイングで6本のサク越えに対し、山川は62スイングで7本のサク越え。白球がスタンドを越えるたびに、スタンドから歓声が沸き起こった。

 球界を代表する長距離砲として活躍する両選手だが、侍ジャパンでの歩みは対照的だ。村上は2021年の東京五輪で侍ジャパンの野手最年少で選出され、決勝のアメリカ戦で0対0の3回に左中間へ先制アーチ。この一発が決勝弾となり、金メダル獲得に大きく貢献した。昨季はシーズンで日本記録の56本塁打を樹立し、史上最年少の22歳で三冠王とさらなる飛躍を遂げ、栗山英樹監督にも全幅の信頼を寄せられている。侍ジャパンで「四番・三塁」は、不動のポジションだ。

 一方、山川は本塁打王を3度獲得した実績を持つが、18年の日米野球以来5年ぶりの代表入りとなった。19年のプレミア12をコンディション不良で出場辞退し、その後はたび重なる故障で打撃が本来の状態にほど遠かったため、日の丸から遠ざかっていた。東京五輪でも選出外だったが、昨季は41本塁打、90打点で2冠王に輝いて見事に復活。6月26日の楽天戦(楽天生命パーク)で2本塁打を放ち、日本人選手最速の通算697試合で200号を達成した。打球を遠くに飛ばす才能は規格外だ。栗山監督も高く評価し、侍ジャパンに返り咲いた。

ホームランを量産する打ち方


 巨人大久保博元一軍打撃チーフコーチは、昨年7月に週刊ベースボールのコラムで、山川を以下のように分析していた。
 
「山川の場合は、落合(落合博満)さんのように少しアウトステップしながら打ちますので、自分に向かってくるボールをうまく避けられるように打っています。それでいて左肩がまったく開かず(三塁側に流れず)にステップしていきます。これこそが大砲の条件だと私は思っています。村上もそうですよね。左打者なので右肩ですね。ここがまったく開くことなく(一塁側に流れず)、しっかりボールに対し正対に近い対処をしています。ここが開いてしまうと、ボールを目で追っかけてしまうのでコンタクトできません。2人に共通するスゴイところはここです」

「個人的には山川は同じ右打者としてまったくマネできない打ち方。あれだけ一瞬体が開いてしまうと、バットをうまくコントロールできません。しかし、山川はしっかりコンタクトして本塁打にできています。本当にすごい打撃技術を持っています。そしてもう一つ(村上と)2人の共通点は、打撃動作に入ったときに、予備動作として体を曲げる→打つ瞬間に体を伸ばす→ボールをコンタクトした瞬間に体を曲げる→当たったあと体が伸びる(力を開放する)という打ち方をしている点です。文章で表現しにくいのですが、これができる打者が、ホームラン打者。2人とも左右違えど、その打ち方なのです。これが続くうちは、本塁打は打てます」

熾烈なポジション争い


 今回の侍ジャパンで本職の一塁は山川のみ。だが、巨人・岡本和真のほか、一塁を守れるヤクルト・山田哲人DeNA牧秀悟も控えている。熾烈な争いの中、WBC本大会前の対外試合で各選手がアピールできるか。

 スポーツ紙記者は「四番・村上、五番・鈴木誠也(カブス)の並びになるでしょう。その後の下位打線で一発を打てる山川がスタメンに入れば相手は気が抜けない。本塁打を打つ技術に関しては、メジャーの強打者と遜色ないと思います。栗山監督の起用法が注目されます」と語る。

 山川にはホームランが似合う。日の丸のユニフォームを身にまとい、ホームランパフォーマンス「どすこい!」を国際舞台でお披露目できるか。

写真=BBM
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