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川口和久WEBコラム

限界なんてとんでもない! 巨人のリベンジャー・坂本勇人は静かに牙を研ぐ/川口和久WEBコラム

 

坂本の姿を見て安心した



 巨人の新人・門脇誠の評判がすこぶるいい。

 171センチと上背はないが、大久保博元コーチが「吉田正尚(レッドソックス)のようだ」と絶賛する豪快なスイングでアピールし、遊撃守備も俊敏だ。

 大久保コーチだけでなく、阿部慎之助ヘッドコーチの評価も高く、各メディアの記事を見ていると、「坂本勇人に代わってショートのレギュラーになるのでは」というものまである。

 ただ、まあ、ちょっと待ってくれとは言いたくなる。

 キャンプ時に首脳陣がニューフェイスを絶賛してベテランの刺激にし、それをマスコミが膨らませて報道するのは、この時期の風物詩のようなものだが、坂本は通算2205安打の実績もあり、34歳の年齢もあってキャンプからアピールしなければいけない立場ではない。

 もちろん、坂本自身も分かっているはずだが、昨年の坂本は故障に加え、グラウンド外のことでも随分たたかれ、心身ともにきついシーズンだった。

 ずっと近くで見ていれば違うのだろうが、今年の巨人キャンプは宮崎でも二軍しか取材しておらず、一軍は練習風景を映像で見ているだけだ。

 もしかしたら本当に状態がかなり悪いのかなと心配になった。

 一人暮らしを始めた息子を心配する、田舎のお母さんみたいなものだね。

 ただ、2月25日、広島とのオープン戦を見て安心した。ヒットにはならなかったが、しっかりバットが振れているし、体のキレもあった。この時点としては、特に問題はない。「勇人は大丈夫じゃないか!」とほっとした。

 俺のコーチ時代の阿部、坂本のように、一枚ではなく、不動の看板を複数枚つくるのが、原野球でもある。

 少なくとも2023年のスタートに関しては、内野はショート・坂本、サード・岡本和真は崩さないと思う。

 もちろん、だから勇人がレギュラーで安泰というわけじゃない。看板をつくりながらも刺客を送るのが原野球だ。V奪還に向け、我慢している余裕はない。故障や不振をきっかけに門脇と入れ替えられる可能性はある。

 一方、最初から激戦区になっているのは外野だ。確定は丸佳浩のライトのみで、センター、レフトは外国人、長野久義オコエ瑠偉、さらに侍ジャパンのサポートメンバーでアピールした松原聖弥らの競争が開幕後も続いていきそうだ。

 レギュラーもそうだが、控えをいかに充実させるかがチーム力につながる。門脇がそうだが、今の巨人の野手にはレギュラーに危機感を与えるだけの若手の台頭も始まっている。

 それでも原巨人、V奪回のキーマンはやはり勇人であってほしいと思う。
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